シングルマザーでしたが、オフィスビルで俺様社長と一緒に子供を育てています。

「無理ですよ……向こうは美人で有名な社長令嬢で勝ち目なんてありませんし。わざわざ自分から名乗り出ても浮気した人間だと惨めな思いをしるだけです。それに、周りから祝福をされて将来を有望された彼だし。地味で何もない私が言っても妄想扱いされるだけです。中絶しろと言われる可能性も高かったし。でも、どうしてもお腹の子である奏太を諦める事が出来なくて勝手に産むことにしたんです。奏太が居てくれるなら、もう……いいです」

 風の噂で聞いた。彼は、それから結婚したと……。
 今さら彼に打ち明けても何もならない。下手したら不倫相手の子として見られるかもしれない。奏太でけは守りたい。
 すると八神社長は呆れたようにため息を吐く。

「君は、本当にそれでいいと思っているのか? 子供は、彼から財産を貰う権利がある。浮気としても知らなかったのだし、彼から養育費だけではなく慰謝料請求も出来たのに、何もしないなんて純粋を通り越して……バカなのか?」

 相当呆れ返らせてしまった。でも……。

「それでいいです。私は彼の人生を台無しにしたい訳ではない。それに……奏太が居てくれます。奏太がお腹に宿したと分かった時は凄く嬉しかった。この子を守れるなら……私はバカで構いません」

 これは、自分で決めたこと。だから後悔なんてしない。そう後悔なんて……。
 すると「あーあー」と八神社長が抱っこしていた奏太は、嬉しそうに雄叫びを上げると手足をバタバタと動かして喜んだ。
 それを見てクスッと笑ってみせる八神社長。

「君の意見は分かった。君は……強いな。心が」

 そう呟いてきた。それは私に言っているのだろうか?
 心臓の鼓動が速くなっていく。こんな風に笑う人なんだ!?
 しかも、奏太に対して、あの優しい笑顔……もしかして子供好きなのだろうか?

「すみません。息子が……。ほら、奏太。こっちにいらっしゃい」

 恥かしさのあまり奏太をこっちに来るように抱っこしようとする。だが……。