○住宅街(夜)
日高と鈴香、手を繋いで歩く。

鈴香「キスもできない女なんて、後悔してますよね?」

日高「ん? もしかして店でのこときにしてる?」
   
鈴香、地面を見つめたまま。

日高「キスってさ、なんだと思う?」

鈴香「大切な人にする……愛情表現?」

日高「だろ? 愛情表現ってキスだけじゃないし。俺たちは俺たちのカタチとペースでいいじゃん。な?」
   
日高、鈴香の手の甲と指に唇を這わせる。

日高「なんかいい匂いする」

鈴香「ハンドクリームかな」
   
鈴香、鞄からハンドクリームを取り出して日高の手に塗り込む。

日高「髭面の大男がこんないい匂いさせてダイジョウブか? 捕まんねー?」

鈴香「(笑いながら)大丈夫ですよ。これでお揃いです」
   
日高、目を閉じて心地よさそうに自分の手の匂いを嗅ぐ。

日高「今のでいい歌詞書けそう」

鈴香「じゃあ著作料とろっかな~」

日高「恋人割とかある?」
   
日高、鈴香の肩を抱き寄せてくっつきながら歩く。