○繁華街(夜)
手を繋いで歩く鈴香と日高。

日高「鈴香は何ラーメン派?」

鈴香、足を止める。

日高も引っ張られて止まる。

日高「どうした?」

鈴香「(照れながら)だって今、私の名前……」

日高「あ~。『鈴香』な」

日高、わざと強調する。

鈴香「なんか恥ずかしい!」

日高「付き合ってんだからいいだろ? 俺のことも呼んでみ」

鈴香「それはムリです!」

日高「ほら。や」

鈴香「……や」

日高「ま」

鈴香「……ま」

日高「と」

鈴香「……と」

日高「やまと、大好き」

鈴香「……やまと、大好き」

鈴香、言い終わってからハッとする。

大和「(満足そうに)どう? 呼べそうだろ?」

鈴香「私にも大好きって言ってほしいです」

踏切が鳴りだして2人は足を止める。

日高「……(照れ臭そうに)分かったよ」

鈴香、ワクワクした表情。
日高、屈んで鈴香の耳元に顔を寄せる。
日高の唇が5回動くと同時に電車が通過する。
鈴香、ハッとする。

鈴香「(嬉しそうに)もう1回! もう1回お願いします!」

日高「(照れながら)1回だけって言ったろ?」

鈴香「大和さん照れてるー」

日高「照れてない」

鈴香「まぁそういうことにしておきますね」

日高と鈴香、目を合わせて笑い合う。