15.おかえり

色々あったが二泊三日の修学旅行を終え帰って来た。
家までの道を歩いていると、家の前に人影が見えた。

「紘くん!?」
よく見るとフードを深く被りマスクをつけた紘くんだった。

「優愛!おかえり!この後ちょっと時間ある?」
「、、うん!」

そう言うと紘くんは私の手を取って走り出した。

「ちょっとー!どこいくの!?」
「内緒!」


しばらく紘くんに引っ張られるがままに進むと、
そこはとても景色が綺麗な高台だった。

「綺麗、、」
たくさんの家の明かりがキラキラしている。

「優愛に見せてあげたかったんだ。」
「私に?」

「優愛?」
名前を呼ばれて横を向き紘くんの顔を見ると、
いつもみたいな甘い笑顔は微塵もなく、真面目な表情をしていた。

「どしたの?紘くん。」

「どうして優愛は俺のこと頼ってくれないの?」
「え?」
そう言う紘くんは少し怒っているようだった。
怒っている紘くん、、初めてみた。
「優愛がいつも俺に嘘ついてるのすぐわかるよ。」

「なんで、、」

「優愛、嘘つく時普段と違って自分のこと優愛って呼ぶでしょ?」

「えっ!うそ、、」

紘くんは私から目を逸らして大きなため息をついた。

「俺がアイドルになったのは、、優愛にかっこいい姿見せたかったから、、だよ。」

「えぇ!?」

「いつも俺、気持ち伝えるのとか恥ずかしくて上手くできなくて、、。だけど、優愛があの時、紘くんは私にとってアイドルみたいな存在だよって言ってくれたから、、。アイドルになれば優愛にちゃんと気持ち伝えられる自分に変われるかなって思って、、。」

「えぇ!?」

「俺、アイドルやめようと思う。」

「はい!?」