あれは、私が23の時だった。

酒場街でもめごとを起こした父がケーサツに逮捕された。

この時、両親は別居状態だった。

そんな中で弟は、どうにか全日制の高校から専門学校まで行くことができた。

電子ビジネスの専門学校に在籍していた時に、パソコンなどの検定の資格を取得した。

弟は、奨学金と母の親戚からの援助で学校に行くことができた。

私は町工場で朝の8時から夕方5時まで働いた。

稼いだお給料は、父が『のみ・うつ・かう』に使っていた。

だから父なんか大キライだ!!

弟が専門学校で電子ビジネスの勉強を始めた頃だった。

私は、町工場の社長さんから『定時制高校に行ったらどうかな。』と勧められたが、私はきっぱりと断った。

仕事と勉強の両立ができないから断った。

通信制高校も断った…

高卒認定試験も断った…

私は、頭が悪いからガッコーへ行くことができないのだよ…

そう思っていた時だった。

勤めていた町工場があえなく倒産した。

私は、路頭に迷った。

その後、町工場《まえ》よりも条件のいい会社へ転職した。

月給は手取りで24万円だった。

この時、弟とカノジョが入籍した。

しかし、弟夫婦が入籍したあと母が重病で倒れた。

私は、会社を休職して母の介護にあたった。

母は、半年後に亡くなった。

翌年、父は通り魔事件の被害に遭って亡くなった。

容疑者の男は、逃走中である。

両親が亡くなったあと、弟夫婦が実家に帰ってきた。

この時から、私は家に居場所をなくした。