それから10日後であった。

ところ変わって、横浜の伊勢佐木町にあるワシントンホテルにて…

この日は、理事長のおいごさんの挙式披露宴の日であった。

挙式が終わった後、私は一階のエントランスにあるカフェテリアにいた。

妻とのお見合いは、ここで行われた。

外科部長は、私に妻を紹介した。

この時、妻は妊娠8ヶ月だったのでマタニティ服を着ていた。

理事長は、妻が妊娠している理由を説明した。

『娘が付き合っていた婚約者の男性が交通事故で亡くなった…娘の胎内にいる赤ちゃんのお父さんがいなくなったのだよ…胎内にいる赤ちゃんのお父さんになってほしい…』

理事長は、私に対してもどうしても妻の胎内にいる赤ちゃんのお父さんになってくれと強要した。

私は、妻との結婚は考えてはいなかった。

もちろん、妻も私と結婚したくないと言うてた。

理事長は、煮え切らない態度を取っている私に対して妻との結婚を強要した。

「じゅんぞうさん!!娘の胎内にいる赤ちゃんに父親がいなかったらどうするのだ!!娘だけで赤ちゃんを育てろと言うのか!?」

理事長がものすごく大きな声で言うた。

私のとなりにいた外科部長が『理事長、落ち着いてください!!』となだめた。

外科部長は、あつかましい声で私に言うた。

「じゅんぞうさん!!理事長の願いを叶えてあげてください…理事長の息子さん4人が商社マンで海外出張中です…そのうえに4人とも結婚する機会をのがしたので残念がっているのです…理事長は娘さんだけでも幸せになってほしいと願っているのです…お願いです…」
「しかしですね!!」
「じゅんぞうさんが理事長の娘さんと結婚をすれば副理事長のポストを与えると言うてくださっているのだよ…お給料も年収2000万以上は保証するとも言うてるのだよ!!」

外科部長は、私に対して妻との結婚を強くすすめた。

年収2000万以上と副理事長のポストを与えると言う言葉を受けて妻との結婚するしかないのか…

私は、怒った声で『お言葉を返すようですが…』と理事長に言うた。

外科部長は『じゅんぞうさん!!』と言うたあと私の頭に右手でつかんだあと『分かりました…』とおじぎさせた。

理事長は、ニコニコした表情で『よかったな…胎内の赤ちゃんのお父さんが見つかったよ。』と妻に言うた。

私は、理事長の言葉に負けて妻と結婚してイリムコになったので

それから2ヶ月後に、長男が生まれた。

その2年後には長女が生まれたが、妻がフタマタかけていた男の子どもだった。

その間に、私は外科部長にスピード出世した。

妻と結婚してから3年目だった。

この時、家族間でけだるさが目立つようになった。

好きな人と結婚したかったのにと言う妻…

理事長の願いに答えなければと言う私の気持ち…

そうした違いが原因で、家庭内で取り返しのつかないトラブルが生じたのだった。