人材派遣会社に登録の手続きを完了させた私は、東海地方にある自動車部品の総合メーカーの製造工場に派遣された。

愛知県豊田市にある工場を筆頭に、主に愛知県と静岡県の工場を転々とした。

最長2年までの短期雇用である。

家電製品付《かでんつ》きの従業員の専用のアパートがあったので、すむ場所には困ることなく働いた。

月給は、手取りで24万円である。

与えられた仕事は、完成した製品を段ボール箱に詰めて行く仕事であった。

そんな暮らしを、16年間続けた。

しかし、2008年頃だった。

この年は、私たち派遣従業員にきついしわよせが来た。

その年の6月の始め頃だった。

私は、静岡県裾野市にある工場で働いていた。

私は、いつものように完成した製品を段ボール箱に詰める仕事をしていた。

この時、工場の従業員さんを5分の1減らす計画が持ち上がっていた。

全従業員さんたちの間で動揺が広がった。

時は、6月7日の朝方であった。

「あんたか、オレのロッカーから物を盗んだのは!!」

私は、25歳くらいの男性の従業員さんに怒鳴られて、胸ぐらをつかまれたあとボコボコに殴られた。

私は、男性従業員さんが言うた意味が分からなかった。

周囲の従業員さんたちが止めに入った。

怒り狂っていた男性従業員さんは、他の従業員さんたちにも暴力をふるった。

見かねた現場の責任者の男性は、暴れている男性の従業員さんに対して『出て行け!!』と怒鳴りつけた。

男性の従業員さんは現場責任者の男性に対しても殴るけるの暴行を加えた。

そして、完成した製品をこなごなに壊した。

そして、工場内の設備を破壊したあと逃走した。

工場は、静岡県警被害届を提出した。

25歳の男性の派遣従業員は事件の容疑者として全国に特別手配した。

その翌日の正午過ぎだった。

指名手配されていた工場の男性派遣従業員が東京秋葉原の歩行者天国で無差別殺傷事件を起こした。

17人が死傷した通り魔事件の容疑者で男性の従業員が警視庁に逮捕された。

その二日後の新聞に、秋葉原の歩行者天国での無差別殺傷事件のニュースが一面にかかれていたのを見た。

男性従業員は、工場の待遇に不満を持っていたことなどを理由に犯行を起こしたと供述した。

容疑者が起訴された日の翌日だった。

工場の全従業員さんたちが工場内でストライキを起こした。

ことの次第を聞いた現場責任者の男性が怒り狂った。

「何がストライキだクソアホンダラ!!」
「ふざけるなクソアホンダラはオドレだ!!」
「そうだよアホンダラ責任者!!」

従業員さんたちは、口々になじりまくった。

(ガツーン!!)

この時、20代の男性従業員さんが現場責任者の男性に思い切りグーで殴られた。

「ストライキの発端は誰だ!!お前か!!」

怒り狂った現場責任者の男性はこ、私の胸ぐらを思い切りつかみながら怒鳴りつけた。

「ストライキの発端はオドレか!?」
「違いますよ!!」

男性の現場責任者はみんなにこう言うた。

「あと二ヶ月したら、ボーナスが出るのだぞ!!こんな劣悪な条件の中でも働けるだけありがたいと思え!!分かったか!!分かったらさっさと持ち場につけ!!」

この時、従業員さんたちが口々に言うた。

「ふざけるなクソ野郎!!」
「そうだよ!!」
「こんな劣悪なところで働けるかボケ!!」
「あんたの話は信用できないんだよ!!」
「やーめたやめた。」
「おい、のみに行こうぜ〜」
「おいクソ野郎!!カネくれよ!!」
「そうだよオラ!!」

このあと、従業員さんたちは現場責任者の男性をボコボコに殴りつけた。

もうだめだ…

ガマンの限界だ…

こんな会社で働けるか!!

思い切りブチ切れた私は、工場をやめた。

同時に、人材派遣会社の登録を抹消した。