相談から数日後、ストーカーは捕まった。

 高槻さんの自宅に侵入し、彼女に大怪我を負わせた罪で。

 犬の散歩に出ていた近所の人が通報し、付近を見回っていた俺が駆けつけた。


 薄暗い家。

 ぼう然と立ち尽くすストーカー。

 倒れ伏す彼女。


 今でも……頻度こそ減ったが夢に見てうなされる。


 俺が。


 俺が、あんなことを言わなければ。

 身の安全を最優先に考えろと、お祖父さんもそれを望むはずだと、そう言えば良かった。

 ああしていれば、こうしていればを何百、何千回も考えて、眠る時間も無くなって。

 そして、俺は警官を辞めた。

 家に引きこもる俺を妹が心配して、仕事の紹介と一緒にルームシェアを提案された。


「お母さんやお父さんに心配かけさせないで、それと私のボディガードして」


 妹の好意に甘え、俺はショッピングモールの警備員として第二の人生を歩み始めた。