しかし読んでいくうちにどう表現したら良いものか、自分の中で相応しい語彙を必死で探す。
「まぁ……ポエムですよね」
「あー、その、ひと昔前の女の子が日記帳に書いてそうな……」
「あら、ひと昔前の女の子のほうがセンスありますよ」
内容は脅迫ではなく、復縁への思いを綴った詩だった。
それが、こう……ストレートにもう一度チャンスをくれ、的なやつではなく、花とか宝石に例えてみたり、下ネタを挟んでいたりと多種多様な言い回しで元彼女に言い寄っていた。
「最後のほうは……これ小説ですね……」
俺がややげっそりしながら呟く。高槻さんは乾いた笑いを漏らして、細い指で指し示した。
「私は悪いドラゴンに拐われたプリンセスなんですって」
「自分は彼女を救う騎士か王子ですか」
「いえ、私のほうから逃げ出して帰ってくるそうです」
「……すごいですね」



