私の料理でもそんな姿をしてくれるだろうか。
お祖母ちゃんやお祖父ちゃん、お母さんや葉月も私の作った料理を喜んでくれたけど、それは家族や友人という贔屓目があったからだ。
実際にお客さんに出すとしたらどうだろう。お金を払うだけに見合う料理として認めてもらえるか。
葉月と話していたあのときは自信はあったはずなのに、今はどうしてかひどく心配になってきてしまった。
「大丈夫、大丈夫……」
呪文のように自分に言い聞かせ、手を動かして料理を完成させる。うん、お品書きに載せられるレベルだ。
それぞれお皿に盛り付けて、「いただきます」と声に出して食べ始める。
静まり返った厨房で、一人きりの夕飯。
一人でご飯を食べたことは何度もあるけれど、ここまで不安を抱えたままの食事は初めてだった。
時々お箸が食器に触れる音が微かに響く中で、電話の呼び鈴が妙に大きく鳴った。



