==========
僕は時折、聖人君子みたいに言われることがある。
でも自分自身よくわかっている。
僕ほどズルくて、汚い人はいないって。
『おはよ、天ヶ崎くん・・・!』
毎朝、僕は日野さんが僕に向ける笑みを見て、安心していた。
人の感情には、敏いほう。
日野さんの気持ちが自分に向いていることを、僕は薄々感じていた。
(・・・ああ、嫌だな)
自分の身勝手さに、我ながら辟易する。
ふたりきりの保健室。
セミの鳴き声。
グラウンドから遠巻きに聞こえる歓声。
青春色にきらめくその中で、僕の心のなかだけが暗く黒くとぐろを巻いていた。
目の前に座る日野さんの目に……僕の姿はない。
昨日まであったはずの暗い安心感が、そこにはもうない。
「・・・好きな人とか、いるの?」
僕の言葉で、日野さんが動揺するのが手に取るように分かった。
嫌だ。
応助の恋を邪魔するようなこと、したくないのに。
日野さんの瞳が揺れる。
(これ以上口を開けば・・・)
これ以上口を開けば、自分で自分のことを、許せなくなってしまう。
わかっている。
わかっているのに。
ズルい自分が、身勝手に口を開く。
「・・・僕じゃだめかな?」
・・・ああ。
応助のことなんて好きにならなければ、僕は僕を好きでいられたのに。
僕は時折、聖人君子みたいに言われることがある。
でも自分自身よくわかっている。
僕ほどズルくて、汚い人はいないって。
『おはよ、天ヶ崎くん・・・!』
毎朝、僕は日野さんが僕に向ける笑みを見て、安心していた。
人の感情には、敏いほう。
日野さんの気持ちが自分に向いていることを、僕は薄々感じていた。
(・・・ああ、嫌だな)
自分の身勝手さに、我ながら辟易する。
ふたりきりの保健室。
セミの鳴き声。
グラウンドから遠巻きに聞こえる歓声。
青春色にきらめくその中で、僕の心のなかだけが暗く黒くとぐろを巻いていた。
目の前に座る日野さんの目に……僕の姿はない。
昨日まであったはずの暗い安心感が、そこにはもうない。
「・・・好きな人とか、いるの?」
僕の言葉で、日野さんが動揺するのが手に取るように分かった。
嫌だ。
応助の恋を邪魔するようなこと、したくないのに。
日野さんの瞳が揺れる。
(これ以上口を開けば・・・)
これ以上口を開けば、自分で自分のことを、許せなくなってしまう。
わかっている。
わかっているのに。
ズルい自分が、身勝手に口を開く。
「・・・僕じゃだめかな?」
・・・ああ。
応助のことなんて好きにならなければ、僕は僕を好きでいられたのに。


