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「佐倉くん!!」
息を切らしながら公園にたどり着いた瞬間、私は目いっぱいの声で叫んだ。
大きな桜の木の下にいたその人――――佐倉くんは、驚いたように私を見た。
「・・・日野?なんでここに、」
「佐倉くんに会いに来たの・・・っ!!」
あれもこれも、佐倉くんに会ったら言ってやるぞ、と勢い込んで来たはいいものの。
「あ、あのね・・・っ佐倉く・・・っ」
「・・・だ、大丈夫か?水買ってこようか・・・?」
息切れしすぎて話にならない。
私は近くの自動販売機で佐倉くんが買ってきてくれた水をありがたくいただきながら、なんとか息を鎮める。
「・・・ふぅ」
「・・・落ち着いたか?」
「うん。ありがとう・・・」
私は息と、ついでに気持ちも落ち着けて、口を開いた。
「あのね、佐倉くん。まずは文句から言わせてもらう」
「え?」
「・・・今日一緒に帰るって約束!なんで無視したの」
「・・・あ、えーっと」
バツが悪そうに佐倉くんが俯く。
でも、逃がしてなんてあげるもんか。
じっと睨む私に、佐倉くんは観念した様子で口を開いた。
「・・・清翔と、日野が・・・その、もし付き合いだしたりとかしたら・・・俺が一緒に帰るのはよくないかな、って――――」
「いらなすぎる気遣い!!」
「え?」
ずんずんと歩き進め、キリリと佐倉くんを見据える。
「私が好きなの、佐倉くんだからっ!!」
「・・・・ん?」
佐倉くんが数秒固まった。
そして徐々に意味を理解しだしたのが、じわじわと頬が赤くなっていく。
「え、あ・・・え?どういう・・・」
「そのままの意味!」
私はもう一歩、ずいっと佐倉くんに近づいた。
佐倉くんは気圧されたように少しだけのけぞる。
「佐倉くんの不器用な優しさも、気だるげなのに誰かのためなら見返りを求めずがんばれちゃうところも、無表情に見えて照れたのがわかりやすいところも・・!」
私と佐倉くんの目がまっすぐに合う。
戸惑ったように揺れる佐倉くんの瞳に、私が映り込む。
「ぜんぶ好き!佐倉くんのことが好きです!」
「・・・そ」
佐倉くんが、信じられない、とでも言いたげに私を見つめ返す。
「そんなわけ・・・」
「あるのっ!私がそう言ってるんだからっ」
「・・・でも」
佐倉くんが言いにくそうに口ごもる。
「・・・日野は・・・清翔のことが好きだったんじゃ、」
「・・・それも、うん、間違ってはない。・・・けど」
私の中によみがえる数々の佐倉くんとの思い出。
そのどれもが、もうよみがえることのない7月15日の思い出。
佐倉くんは忘れていても・・・確かに私の中には残っている思い出。
「7月15日を繰り返すうちに佐倉くんのことを好きになったの」
「・・・くりかえすうちに・・・?」
「この辺は、あとで詳しく話すから。それより佐倉くん」
私はきょとんとする佐倉くんを置いて、大きな桜の木を見上げた。
「・・・私が桜の約束をしたの、佐倉くんだったんだ」
「・・・!」
佐倉くんが私の言葉に、大きく目を見開く。
「・・・あの約束・・・覚えてた、のか。てっきり、もう忘れてるのかと・・・」
「覚えてる。でも、佐倉くんがその相手だっては・・・気づいてなかった」
というか、天ヶ崎くんがその人なのだと、勘違いまでしていた。
佐倉くんは押し黙った私と、大きな桜の木を交互に見つめたあと、ふっと微笑んだ。
「・・・約束、ちゃんと果たせたな」
「!」
佐倉くんが私に小指を差し出してきた。
あの頃とは違う、大きな手のひら。
成長したその指に、私は自分の小指をからめる。
「・・・日野」
佐倉くんの声に、つられて彼のほうを見る。
優しく優しく微笑む佐倉くん。
「・・・俺も・・・日野のことが好きです」
指切りを交わす私たちの間に、季節外れの桜の花びらが一枚舞った・・・ような気がした。
「佐倉くん!!」
息を切らしながら公園にたどり着いた瞬間、私は目いっぱいの声で叫んだ。
大きな桜の木の下にいたその人――――佐倉くんは、驚いたように私を見た。
「・・・日野?なんでここに、」
「佐倉くんに会いに来たの・・・っ!!」
あれもこれも、佐倉くんに会ったら言ってやるぞ、と勢い込んで来たはいいものの。
「あ、あのね・・・っ佐倉く・・・っ」
「・・・だ、大丈夫か?水買ってこようか・・・?」
息切れしすぎて話にならない。
私は近くの自動販売機で佐倉くんが買ってきてくれた水をありがたくいただきながら、なんとか息を鎮める。
「・・・ふぅ」
「・・・落ち着いたか?」
「うん。ありがとう・・・」
私は息と、ついでに気持ちも落ち着けて、口を開いた。
「あのね、佐倉くん。まずは文句から言わせてもらう」
「え?」
「・・・今日一緒に帰るって約束!なんで無視したの」
「・・・あ、えーっと」
バツが悪そうに佐倉くんが俯く。
でも、逃がしてなんてあげるもんか。
じっと睨む私に、佐倉くんは観念した様子で口を開いた。
「・・・清翔と、日野が・・・その、もし付き合いだしたりとかしたら・・・俺が一緒に帰るのはよくないかな、って――――」
「いらなすぎる気遣い!!」
「え?」
ずんずんと歩き進め、キリリと佐倉くんを見据える。
「私が好きなの、佐倉くんだからっ!!」
「・・・・ん?」
佐倉くんが数秒固まった。
そして徐々に意味を理解しだしたのが、じわじわと頬が赤くなっていく。
「え、あ・・・え?どういう・・・」
「そのままの意味!」
私はもう一歩、ずいっと佐倉くんに近づいた。
佐倉くんは気圧されたように少しだけのけぞる。
「佐倉くんの不器用な優しさも、気だるげなのに誰かのためなら見返りを求めずがんばれちゃうところも、無表情に見えて照れたのがわかりやすいところも・・!」
私と佐倉くんの目がまっすぐに合う。
戸惑ったように揺れる佐倉くんの瞳に、私が映り込む。
「ぜんぶ好き!佐倉くんのことが好きです!」
「・・・そ」
佐倉くんが、信じられない、とでも言いたげに私を見つめ返す。
「そんなわけ・・・」
「あるのっ!私がそう言ってるんだからっ」
「・・・でも」
佐倉くんが言いにくそうに口ごもる。
「・・・日野は・・・清翔のことが好きだったんじゃ、」
「・・・それも、うん、間違ってはない。・・・けど」
私の中によみがえる数々の佐倉くんとの思い出。
そのどれもが、もうよみがえることのない7月15日の思い出。
佐倉くんは忘れていても・・・確かに私の中には残っている思い出。
「7月15日を繰り返すうちに佐倉くんのことを好きになったの」
「・・・くりかえすうちに・・・?」
「この辺は、あとで詳しく話すから。それより佐倉くん」
私はきょとんとする佐倉くんを置いて、大きな桜の木を見上げた。
「・・・私が桜の約束をしたの、佐倉くんだったんだ」
「・・・!」
佐倉くんが私の言葉に、大きく目を見開く。
「・・・あの約束・・・覚えてた、のか。てっきり、もう忘れてるのかと・・・」
「覚えてる。でも、佐倉くんがその相手だっては・・・気づいてなかった」
というか、天ヶ崎くんがその人なのだと、勘違いまでしていた。
佐倉くんは押し黙った私と、大きな桜の木を交互に見つめたあと、ふっと微笑んだ。
「・・・約束、ちゃんと果たせたな」
「!」
佐倉くんが私に小指を差し出してきた。
あの頃とは違う、大きな手のひら。
成長したその指に、私は自分の小指をからめる。
「・・・日野」
佐倉くんの声に、つられて彼のほうを見る。
優しく優しく微笑む佐倉くん。
「・・・俺も・・・日野のことが好きです」
指切りを交わす私たちの間に、季節外れの桜の花びらが一枚舞った・・・ような気がした。


