7月15日、あなたに告白します。

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『大丈夫?』


 幼い男の子の声で、私は顔を上げた。
 私と同い年くらいの、小さな男の子。

 でもその手は確かに私に差し伸べられていて。


『迷子なの?助けてあげようか?』


 なんだかその彼が、私にはとても頼もしくて。
 周りにいる大人たちよりずっと。


『・・・うん。まいご・・・』


 私はゆっくりとその男の子の手を取った。


『僕も迷子』

『えっ?』

『いっしょに、お母さんとお父さんをさがそう』


 迷子が、二人して手を繋いで。
 今思えばなんて無謀な、って思うけど、そのときの私は涙が出るくらいうれしかった。

 ほんの数秒前まで、世界にたった独りぼっちにされたような気持ちだった。

 家族の姿がどこにも見当たらなくて。
 大げさだけど、小さな私はこのまま誰にも見つからずに死んじゃうんだって。

 そう思って涙があとからあとからあふれてきたんだ。


『みてみて。この金魚さん、さっき僕がとったんだよ』

『そうなの!?すごい!!』

『あ、でもね、こっちの大きいのはお父さんがとったやつで――――』


 その男の子は、私にいろんな話をしてくれた。

 さっきまで世界に独りぼっちだった私は、いつの間にか彼と同じ世界に立っていた。
 涙なんて、気づけば乾いていた。


『僕ね、もう少しで妹が生まれてお兄ちゃんになるんだ!』

『そうなの!?ハルカもお姉ちゃんになりたい!』


 いろんな話をして。
 そうしているうちに、私の手の震えも・・・その子の手の震えも、収まっていたんだ。

 どのくらい時間が経ったのだろう。

 迷子センターにたどり着いた私たちは、両親と無事に再会を果たした。


『あのね、あのね・・・僕ね、もう少ししたらお引っ越しするんだって』

『・・・なら、もう会えない?』

『でもね、でも・・・ハルカちゃんと僕もう一回会いたい』

『ハルカも、会いたい・・・』

『あのね、僕・・・絶対にもう一回帰ってくるから』


 桜まつりの、大きな桜の下で出会った男の子。
 その子と交わした再会の約束。


『じゃあ、約束ね!』

『うん!ゆびきりげんまん、うそついたら――――』


 小さな2本の小指が、結んで離れる。
 あの瞬間を私は、時折今でも夢に見るんだ。