7月15日、あなたに告白します。

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 説教タイムが終わって、私はとぼとぼと職員室を後にした。

 以前なら、このあとバス停まで二人で帰って、二人でバスを待っていたのに。
 でも今は。

 そう考えるだけで私の足取りは重かった。


(・・・ううん、大丈夫)


 やり直せるから。
 『今日』の失敗なら、私は何度でもやり直せる。

 体育の時間の失敗も、保健室のやりとりも。

 そのあとの佐倉くんとのやりとりだって。

 ぜんぶなかったことになるもの。


(・・・そうだ、無理に今日告白しなくたって――――――)


 私の中で、『希望』という名前の『諦め』が芽生え始めていた。
 その瞬間。


「日野さん!!」


 階段を下りている途中、頭上から声が降ってきた。
 その勢いに驚いて、跳ねるように声の主を見上げる。


「・・・天ヶ崎くん・・・?」


 思わぬ人物から呼び止められたことに、私は驚きを隠せなかった。
 戸惑う私に、天ヶ崎くんは近づいてくる。

 一段、また一段と階段を下りて、私の何段か上で歩みを止めた。


「・・・あの、えっと、まずは保健室での件・・・ごめん」

「えっ、いや、ううん・・・全然」


 戸惑いつつ、私は首を振る。


「・・・その、ちゃんと言わないと、ズルいと、思って・・・」


 今日の天ヶ崎くんは珍しく歯切れが悪い。
 私は静かに彼の言葉を待った。


「・・・応助は、その」

「佐倉くんは・・・?」

「応助は、日野さんのこと、嫌いになったわけじゃないよ」

「・・・え?」


 どういうこと?と眉を寄せる私に、天ヶ崎くんはもどかしそうに口を開く。


「今日、俺の、せいもあって、その、日野さんのこと避けてるかもだけど、嫌いになったわけじゃなくて――――ーむしろ・・・」

「むしろ・・・?」

「・・・・えっと」



 天ヶ崎くんは一瞬ためらったあと、覚悟を決めたようにまっすぐ私を見据えた。


「日野さん、応助はずっと昔から好きな人がいるよ」

「むかしから・・・?どういう意味?」

「保育園のとき、たった一度会ったきり。再会の約束をしてお別れをした女の子のことが好きなんだって僕に話してくれた」

「え・・・」


 それって。それって――――。

 保育園のとき、たった一度会ったきり。
 再開の約束をしてお別れをした。


「僕は応助がずっと一途にその人だけを想い続けてきたって、知ってたんだよ」

「それ、って・・・」

「日野さん、覚えてないの?応助は―――――」


 その後に続く言葉を、私は聞けなかった。

 だって、気がついたら私の足は、走り出していたから。