7月15日、あなたに告白します。

=========



(・・・あ・・・そういえば)


 一時間目の国語を受けながら、ぼんやりと窓の外を眺めつつ物思いにふける。


(今日まだ告白の約束取り付けてないや・・・)


 朝あんなに長い間いっしょにいたんだからその間に誘っていればいいものを、うっかりしていた。
 告白とか、そんな気分じゃなかったし。
 まあそれを言ってしまえば今も告白なんて浮かれた気分では全くないのだけれど。

 私は視線を窓の外から天ヶ崎くんの背中へと向ける。
 私の席からではその顔は見えないけれど、逐一教科書をめくったり、ノートをとったり、まさに優等生って感じの授業態度。


(・・・今さら、だけど・・・・やっぱ私って天ヶ崎くんに全然釣り合ってないじゃん)


 勉強ができて、スポーツもできて。


「―――――野」


 性格もよくて、容姿も優れて。


「―――――野!」


 それに比べて私は・・・。


「日野!」

「!」


 突然名前を呼ばれて前を向くと、みんなが私のほうを注視していた。
 何事かと思ったけど、先生が呆れたように教えてくれた。


「ずっと名前呼んでたんだぞ、寝てたのか?問四だぞ」


 一瞬驚いて固まってしまったけど、この授業ももう十四回目。
 問四がどんな問題で、なにが答えかなんて、教科書を見なくたって答えられる。


「・・・『本当は謝りたいと思っているが、素直になれずもどかしい気持ち』」

「・・・合ってるな・・・っていうか模範解答と全くいっしょだな・・・」


 先生が少し不可解そうに首を傾げた。


「・・・まあいい。日野、じゃあそのまま問五もいけるか?」

「・・・最初の五文字が『ここで私は』、最後の五文字が『のだろう。』」

「・・・合ってるな」


 先生が少し頭をかいた。


「日野、どうした?いや答えは合ってるんだが・・・むしろお前普段は勉強苦手なほうだろ」

「・・・・まあ」

「集中してないわりに何も見ずにつぎつぎ模範解答言っていくもんだから・・・どっか頭でも打ったのか?それとも体調でも悪いのか?」


 さっきまでお咎めモードだった先生が一転、心配そうにそんなことを言ってきた。
 それにつられて、教室中のみんながちらちらと私のほうを見る。

 普段なら人の視線なんてそれほど気にしない性分なのだが、今日は気になって仕方がない。
 いらだって仕方がない。

 私はいら立ちをおさえつつ立ち上がった。


「・・・体調悪いんで、保健室行ってきていいですか」


 それまでの会話の流れもあって、すんなり保健室に行くことを許可してもらえた。
 私は振り返らず教室を出て、一直線に保健室に向かった。