7月15日、あなたに告白します。

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「・・・・23時30分、か」


 気づけば、もう日付も変わりかけていた。


「・・・なんだか不思議だな。このままここにいたら、案外そのまま朝が来たりしないかなぁ・・・」


 私は心からそうつぶやいた。
 佐倉くんが、手を握ってくれた。


「日付変わるとき、手つないでてもいいか?」

「・・・・うん」


 刻一刻と、時間は進んでいく。
 永遠のようにすら思われた夜が、どんどん終わりに近づいていく。
 朝が、近づいてくる。


「・・・いやだなぁ・・・」

「・・・」

「・・・いやだよ・・・あさがきちゃう・・・」


 私は強く唇を噛んだ。

 刻一刻と時間を進める時計が、憎らしくて仕方がなかった。


「・・・あしたが・・・あしたが・・・っ」


 佐倉くんと繋いでいないほうの手が、小刻みに震える。
 怖い、怖い・・・・。

 佐倉くんに、たくさんたくさん心配をかけたから。
 もう泣かないって決めていたのに。

 私はいつの間にか、大粒の涙をぼろぼろこぼしていた。


「あしたになっちゃう・・・あし・・・あした、が・・・」

「・・・明日も俺、協力するから・・・だから泣かないでくれ・・・」

「・・・・けどっ・・・けど・・・っ」


 私はもう感情の行き場がなかった。


「さくっ・・・さくらくんだって・・・!あしたになれば忘れちゃうじゃん・・・っ!今日のことぜんぶ・・・っ!」


 違うのに。
 こんなこと言いたいんじゃないのに。

 つい数時間前には、日付が変わる直前に「いっしょにいてくれてありがとう」って言おうと心に決めたのに。


「どうせ忘れちゃうじゃん・・・!どうせ覚えてないじゃん・・・!わたしとの思い出・・・っ何も残んないじゃん・・・っ」

「・・・ごめん、ごめんな・・・」


 佐倉くんのせいじゃないのに、佐倉くんは悲しそうに謝った。

 私は泣きながら、プリクラが入った制服の右ポケットを、強く握りしめる。


「・・・やだっ・・・いやだっ・・・ずっと、ずっとこのままがいい・・・っ」

「・・・・っ」

「忘れないで、忘れないでよぉ・・・っ、さくらくん・・・っ!!」


 佐倉くんは私の手を強く握り、引っ張った。
 そして、私を抱き寄せる。

 佐倉くんはただ無言で、私の肩を抱きしめた。

 私は彼の優しい匂いに包まれながら、ひたすらに泣きじゃくった。


「忘れないで、忘れないで・・・・!おねがい・・!」


 ただただそう叫んだ。

 明日が来ないでと。
 忘れないでと。

 そう叫んだ。


 だけど無情にも・・・時計の針は、0時を指した。