7月15日、あなたに告白します。

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「―――――おいし・・・」


 ファミレスについて、ご飯を一口食べて、ようやく私はそうつぶやいた。


「うん、よかった」


 佐倉くんが心から安堵した表情になった。
 私はチキン南蛮をもう一口かじる。


「おいしい・・・」

「うん」


 ここ数日、カレー以外の晩御飯を食べるのは久々だった。
 朝も、昼も、夜も、ずっと同じご飯だった。

 いい加減食べたくないとさえ思ったけれど、親に心配をかけたくなくて、飲み物で流し込み続けていた。
 無機質で、味気もにおいもない生活を、送っていた。

 今、初めていつもと違うご飯を食べて、やっと人間に戻ったような気がした。
 そうだ、ご飯を食べるっておいしいんだ、って思いだしたような気がした。


「・・・ありがとう・・・、佐倉くん・・・」


 ご飯を食べて、少しだけ気持ちが落ち着いて、私は話し出した。


「さっきまで、人生で一番ってくらい落ち込んでたけど・・・・ちょっとだけ、回復した」

「ああ」

「・・・ごめんね・・・迷惑かけてばっかで・・・」


 私がそう言ってすぐ、佐倉くんは否定するように首を振った。


「迷惑なんかじゃない。頼ってもらえてうれしかった」


 佐倉くんは、いつかの佐倉くんがメッセージで送ってきたのと、同じことを言った。


「それに・・・俺はループを経験してるわけじゃないから知ったようなこと言われるの嫌かもしれないけど、普段明るくて前向きな日野がそんだけ落ち込むってことは、きっと俺ならもっと沈んでる。ここまでまっすぐ走り続けてこれたのは、きっと日野が強いからだよ」

「・・・・わたしが・・・つよい・・・」

「うん。日野っていつも明るくて前向きじゃん。そういう風にふるまえる人は、きっと強い人だと思う」


 佐倉くんが、あ、と何かを思い出したようにつぶやく。


「そうだ。ほら、四月に合宿オリエンテーションあっただろ、林間学校みたいなやつ」

「?・・・うん」

「そのときも日野見てて、すっげー強い子だなって思ったよ」


 オリエンテーション合宿で強そうな何かをした記憶がない。
 素手で薪割りでもしたっけ・・・。


「日野の班だけ、米がうまく炊けてなかっただろ」

「ああ・・・うん、そうだったね」

「そんときさ、みんな固まってたけど、日野だけすぐ切り替えてさ。全部の班駆け回って余った米集めてただろ?」

「・・・よく覚えてるね・・・」

「だってあんまりにも一生懸命やってるから」


 佐倉くんの言葉が、優しく私の心にしみこんでくる。


「俺、日野のそういうところ好きだな。まっすぐ前だけ見てるとこ」

「・・・私も、佐倉くんのそういうところ、好き」

「・・・えっ」


 私のセリフを聞いてあまりにも驚いたのか、突然おどおどしだす佐倉くん。


「す・・・え?そ、そういうとこって・・・え?」

「ふふっ、焦りすぎ。そういう佐倉くんの不器用だけど優しいところ」

「優しい・・・俺が?むしろよくこわそうって言われるけど」

「こわそうに見えるだけ、でしょ?きっとその人たちは本当は佐倉くんがどれだけ優しいかわかってないんだね」


 佐倉くんは、本当に本当に優しい人。
 私が今その瞬間に、本当に欲しい言葉をくれる人。


「・・・そうか?俺は妹にもよくクソ兄貴って言われるぞ」

「あはは、妹さんもじゃあわかってないんだ」

「そう・・・なのか・・・?」

「そうだよ。それとも妹さんには厳しくしてるの?」

「うーん・・・まあちょっと大人げないことしたこともある・・・」

「自覚してるならまだいいお兄ちゃんなんじゃない?」


 そこからは、二人でまた他愛もないことを話した。
 私は少しでもこの時間が続くよう祈りながら、ゆっくりゆっくりとご飯を食べた。