7月15日、あなたに告白します。

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 希望の光が見えたのは、次の日、十三回目の7月15日のことだった。


「おはよっ!天ヶ崎くん!」

「おはよう、日野さん」

「ねー!天ヶ崎くんってペット飼ってるっけー!?」


 今日も三日連続でハムスターの話を振った。
 天ヶ崎くんがいつもより楽しそうに話してくれるのを見ると、同じ内容だけど明日も振ろうと思えてしまう。

 こうしてペット自慢を一通り聞き、本題に入る。


「天ヶ崎くんて、サッカー部だったよねっ」

「うん」

「サッカー部って新しい部長、副部長は決まってるの?」


 物は試し、直球で聞いてみた。


「まだ決まってないよ」

「そっかー!天ヶ崎くんてしっかりしてるし、サッカーうまいらしいし、絶対役職つきそう!」


 私がそれとなく踏み込んで聞いてみると、天ヶ崎くんは少しだけ困ったように話してくれた。


「あー・・・実はあんまり言いふらしちゃだめなんだけど、副部長やってみないかって聞かれてて」


 そして、他の人には言わないでね、と笑った。
 罪作りな男だ・・・。


「そっかー!天ヶ崎くんが副部長とか絶対頼もしいじゃん!」

「んー・・・」


 珍しくちょっとだけ、歯切れの悪い返事。


「どうしたの?」

「・・・いや・・・」

「・・・もしかして、副部長引き受けようか迷ってる?」


 天ヶ崎くんはしばらく黙り込んだ後、静かに小さくうなずいた。


「どうしてか、聞いてもいい?」


 天ヶ崎くんが迷いつつも、ここまで来たら、って感じで話し出した。


「・・・んー・・・うちの部って結構仲がいいんだけど、練習はかなり緩いほうで」

「うん」

「僕だけ一人突っ走ってるっていうか、そんな感じでさ。みんなと温度感違うから・・・僕がリーダーのポジションについちゃうとみんな困るかもな、って」


 ようは、周りとの温度差があって、副部長を引き受けるか迷っている、ってことだ。


(これが天ヶ崎くんの『整理のつかないこと』なのかな・・・だとしたら返答を間違えるわけにはいかない!)


 考えろ私。
 天ヶ崎くんが、私になんて言ってほしいのか。

 副部長を引き受けるよう背中を押してほしいのか、はたまた勇気を出して断るよう背中を押してほしいのか。

 答えようによっては真逆の内容になってしまう・・・。


「・・・天ヶ崎くんはどう思ってるの?周りの人のこととか関係なしに。副部長、やってみたいのか、そうじゃないのか」

「僕が・・・」

「そう」


 天ヶ崎くんは少し考えこむ。

 私は静かに続く言葉を待っていたけれど、しばらくして天ヶ崎くんが口を開くより前に、電車が迫ってきた。


「・・・ちょっと、もう少し真剣に考えてみる」


 天ヶ崎くんが小さくそう言った直後、電車が大きな音を立てて通り過ぎて行った。

 結局告白の約束が取り付けれずじまいだった、と思い出したのは、天ヶ崎くんの背中が見えなくなった後のこと。


(まあ天ヶ崎くんの言ってた『整理のつかないこと』が見えてきたわけだし、大きな成果はあったよね)


 私は満足そうに大きく深呼吸をして、自転車をこぎだした。