7月15日、あなたに告白します。

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 二時間目の数学が終わり、私と佐倉くんはまた保健室で落ち合った。

 時間もそれほどないので、私はさっそく本題に入る。
 数学の間、ずっとどう話すか考えていたので、どう切り出すか迷うことはなかった。


「あの・・・ね、これから話すことは、かなり突拍子もないことで、それで・・・もしかしたら信じてもらえないかもしれないんだけど」


 私が念のためそんなふうに前置きした。
 佐倉くんは、何も言わずただ小さくうなずいた。


「7月14日に・・・神社に行ったの、近所の。それでお願い事をしたんだ。『明日、好きな人と付き合えますように』って」

「好きな人って・・・清翔?」

「うっ・・・うん、そう・・・」


 やっぱり今回の佐倉くんも、ほぼ確信しているような口調でそう言ってきた。


「そしたら7月15日になって・・・」

「今日だな」


 佐倉くんが何気なくそう相槌をうってきた。

 確かに普通の人からしたら、昨日や今日のことを、わざわざ日付で呼ぶのは違和感か。
 私にとっては今日が多すぎてそれじゃ話にならない。


「それでね・・・あの、告白したんだけど、振られたの」

「!」


 佐倉くんが、小さく目を見開く。


「・・・そんなびっくりすることでもないでしょ。佐倉くんだって天ヶ崎くんが恋愛に興味ないの、知ってるでしょ?」

「まあ・・・」

「で、その日が終わって」

「うん・・・うん?」


 佐倉くんが眉間にしわを寄せる。


「その日が終わって?・・・今日?今日が終わって・・・?」

「うん、7月15日が終わったの」

「はぁ・・・?」


 わけがわからない、って感じの佐倉くん。
 まあそりゃそうなる。


「で、また7月15日が来たのね」

「はぁ・・・?」

「私にとって今日は・・・十回目の7月15日なんだ」

「えっと・・・・」


 私たちの間に、沈黙が横たわる。


「・・・それ、ほんとの話・・・なんだよな?」

「うん。まあ信じられなくてもしょうがないし、信じられないならそれはそれでいいの」

「・・・・」


 どうせ信じてもらえなくても、次の日になればキレイさっぱり忘れているわけだし。

 けれどそう話した私の表情をじっと見つめ、佐倉くんは首を振った。


「いや・・・信じる」

「!」

「日野が言うんだから信じてみる」


 お・・・思ったよりあっさり・・・信じてくれた・・・。
 信じてもらえない、信じてもらえたとしてもきっとすぐには無理だろう、なんて思っていたんだけれど。

 きょとんとした表情の私と、真剣なまなざしで私を見据える佐倉くん。


「それって、ようはタイムループ?ってやつだろ」

「うん、ループを抜け出すには・・・その、天ヶ崎くんへの告白が成功しないといけないんだけど・・・」

「・・・なるほど」


 佐倉くんはしばらく押し黙っていた。
 けど、時計をちらりと一瞥して、静かにため息をついた。


「・・・・協力するよ」

「え?」

「俺にできることがどれだけあるかわからないけど、できる限り協力する」

「い、いいの?」

「・・・もちろん」


 協力・・・。
 確かに佐倉くんは天ヶ崎くんと親しいし、味方になってくれるのはこの上なく頼もしい。

 でも私も今手詰まり状態なので、協力とはいっても何をしてもらえばいいのか・・・。

 そこで、またも二時間目の予鈴が鳴った。


「・・・7月15日をループしてるってことは、明日になればまた全部リセットされるんだろ?」

「うん・・・」

「そうか、時間が惜しいな・・・」


 佐倉くんはちらっとまた視線を時計に落とした。


「けど四時間目は体育だしな・・・次の授業の間の休憩は使えないし・・・」

「あ、でも次の体育、試合形式で。たぶん試合ない間なら話せるかも」

「・・・そうか」


 佐倉くんがまじまじと私の顔を見つめる。


「・・・本当にループしてるんだな・・・」


 結局、話の続きは体育の時間にすることになり、一旦私たちは授業に向かった。