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私はバスを降りた瞬間、戦闘態勢に入った。
絶対に始業に間に合わせる!と意気込む。
「よし!行こうっ、佐倉くんっ!」
「え」
「え?」
「・・・いっしょに、行くのか?」
同じ戦いを挑む者、いわば戦友のようにすら思っていた佐倉くんが、そんなことを言ってきた。
「い、行かないの!?逆に!行き先は同じなのに!」
「いや・・・」
佐倉くんは珍しく少し言いよどんだ。
「・・・てっきりもう話しかけてもらえないかと思ってたから」
なんてネガティブな・・・。
別に特別親しくはないけど、かといって不仲ってわけじゃない。
それなのに会話もせず同じ方向に歩き続けるのは、むしろ気まずい気がする。
「そんなわけないじゃんっ!それより話は後!遅れるから行こっ!」
「あ、ああ・・・」
私は佐倉くんとともに走り出した。
さっそくアドバイスされた信号が見えてきた。
「ここでは渡らないんだったよねっ」
「ああ」
そこはスルーして、次の横断歩道を目指す。
確かにいつもは余裕もって登校してるから気にならないけど、結構変わるの時間かかるもんな、あそこ。
そして間もなく次の横断歩道が見えてくる。
確かにこっちは信号がなく、それに車通りもほぼなさそうだった。
おかげでちらっと左右を確認し、すぐに渡ることができた。
「だっ・・・大丈夫かな・・・っ、間に合うかな・・・っ」
だんだん息があがってきた。
一方の佐倉くんは、体力には自信があるのか涼し気な表情で腕時計を確認する。
「8時24分。いいペース配分だ」
「だからそれ・・・っ」
スポーツ選手か!と突っ込もうかと思ったけど、走りながらしゃべるのは体力の無駄なのでやめておいた。
「・・・待て」
佐倉くんが急に立ちどまった。
何事かと彼を見ると、無言で前方を指さした。すると。
「・・・交通規制ぃ?」
私は思わず言いながら顔をしかめてしまった。
どうやら直前に事故があったらしい。
これでは最短ルートが使えないではないか。
「・・・引き返そう」
「えぇ・・・」
「しかたないだろ」
「はい・・・」
佐倉くんは淡々とした感じで引き返していく。
私もこれ以上ここにいても何も始まらないので、後ろ髪ひかれる思いで佐倉くんに続いた。
結局一つの前の角まで戻って、迂回ルートで行くことに。
「・・・もうこれ絶対間に合わないやつじゃん・・・」
「・・・だな・・・」
時計は8時26分を示していた。
ここからじゃもうどうがんばったって始業には間に合わない。
「・・・8時40分を目指そう」
佐倉くんがそう言いだした。
8時40分て、結局始業には間に合ってないですけど・・・。
私の不思議そうな視線を受け、佐倉くんが説明してくれた。
「8時40分以降は、生活指導の坂田先生が見回りするんだ。これに捕まると放課後のお説教タイム確定だ」
おい、やけに詳しいな。
絶対これ捕まったことある奴だな、佐倉くん。
それも一回や二回じゃないな。
と、突っ込みたかったが、やはり体力の無駄使いのため何も言わないでおいた。
「じゃあ・・・っ、あと13分・・・!」
13分なら、急げば間に合いそうだ。
そしてそこから10分ほどかけ、ようやく学校が見えてきた。
忍び足で校舎内に入り、授業中の教室の横を静かに通り過ぎていく。
ここで気づいたけれど、上履きを履かず靴下のままで歩くと、足音が消しやすいのだ。
もしかしてこれも見越して下足場に行かないのでは・・・?と佐倉くんの思考を邪推してしまった。
(よし!ここさえ通り過ぎれば――――)
他の一年の教室を抜け、ようやくうちのクラス、と安堵したのもつかの間。
「おい、何してるんだ」
「!!」
背後から、野太い声に呼び止められた。
これは―――――。
恐る恐る振り返る私。
と、状況を一瞬にして把握し、己の死を悟った修行僧のように目をつむる佐倉くん。
「お前ら、二人仲良く遅刻か」
「・・・さ、坂田先生・・・」
背後に立っているのは紛れもなく、あの恐怖の生活指導、坂田先生だった・・・。
「放課後、職員室に来なさい」
この状況で、神妙な顔をしてうなずく以外の選択肢など、残されてはいなかった――――。
私はバスを降りた瞬間、戦闘態勢に入った。
絶対に始業に間に合わせる!と意気込む。
「よし!行こうっ、佐倉くんっ!」
「え」
「え?」
「・・・いっしょに、行くのか?」
同じ戦いを挑む者、いわば戦友のようにすら思っていた佐倉くんが、そんなことを言ってきた。
「い、行かないの!?逆に!行き先は同じなのに!」
「いや・・・」
佐倉くんは珍しく少し言いよどんだ。
「・・・てっきりもう話しかけてもらえないかと思ってたから」
なんてネガティブな・・・。
別に特別親しくはないけど、かといって不仲ってわけじゃない。
それなのに会話もせず同じ方向に歩き続けるのは、むしろ気まずい気がする。
「そんなわけないじゃんっ!それより話は後!遅れるから行こっ!」
「あ、ああ・・・」
私は佐倉くんとともに走り出した。
さっそくアドバイスされた信号が見えてきた。
「ここでは渡らないんだったよねっ」
「ああ」
そこはスルーして、次の横断歩道を目指す。
確かにいつもは余裕もって登校してるから気にならないけど、結構変わるの時間かかるもんな、あそこ。
そして間もなく次の横断歩道が見えてくる。
確かにこっちは信号がなく、それに車通りもほぼなさそうだった。
おかげでちらっと左右を確認し、すぐに渡ることができた。
「だっ・・・大丈夫かな・・・っ、間に合うかな・・・っ」
だんだん息があがってきた。
一方の佐倉くんは、体力には自信があるのか涼し気な表情で腕時計を確認する。
「8時24分。いいペース配分だ」
「だからそれ・・・っ」
スポーツ選手か!と突っ込もうかと思ったけど、走りながらしゃべるのは体力の無駄なのでやめておいた。
「・・・待て」
佐倉くんが急に立ちどまった。
何事かと彼を見ると、無言で前方を指さした。すると。
「・・・交通規制ぃ?」
私は思わず言いながら顔をしかめてしまった。
どうやら直前に事故があったらしい。
これでは最短ルートが使えないではないか。
「・・・引き返そう」
「えぇ・・・」
「しかたないだろ」
「はい・・・」
佐倉くんは淡々とした感じで引き返していく。
私もこれ以上ここにいても何も始まらないので、後ろ髪ひかれる思いで佐倉くんに続いた。
結局一つの前の角まで戻って、迂回ルートで行くことに。
「・・・もうこれ絶対間に合わないやつじゃん・・・」
「・・・だな・・・」
時計は8時26分を示していた。
ここからじゃもうどうがんばったって始業には間に合わない。
「・・・8時40分を目指そう」
佐倉くんがそう言いだした。
8時40分て、結局始業には間に合ってないですけど・・・。
私の不思議そうな視線を受け、佐倉くんが説明してくれた。
「8時40分以降は、生活指導の坂田先生が見回りするんだ。これに捕まると放課後のお説教タイム確定だ」
おい、やけに詳しいな。
絶対これ捕まったことある奴だな、佐倉くん。
それも一回や二回じゃないな。
と、突っ込みたかったが、やはり体力の無駄使いのため何も言わないでおいた。
「じゃあ・・・っ、あと13分・・・!」
13分なら、急げば間に合いそうだ。
そしてそこから10分ほどかけ、ようやく学校が見えてきた。
忍び足で校舎内に入り、授業中の教室の横を静かに通り過ぎていく。
ここで気づいたけれど、上履きを履かず靴下のままで歩くと、足音が消しやすいのだ。
もしかしてこれも見越して下足場に行かないのでは・・・?と佐倉くんの思考を邪推してしまった。
(よし!ここさえ通り過ぎれば――――)
他の一年の教室を抜け、ようやくうちのクラス、と安堵したのもつかの間。
「おい、何してるんだ」
「!!」
背後から、野太い声に呼び止められた。
これは―――――。
恐る恐る振り返る私。
と、状況を一瞬にして把握し、己の死を悟った修行僧のように目をつむる佐倉くん。
「お前ら、二人仲良く遅刻か」
「・・・さ、坂田先生・・・」
背後に立っているのは紛れもなく、あの恐怖の生活指導、坂田先生だった・・・。
「放課後、職員室に来なさい」
この状況で、神妙な顔をしてうなずく以外の選択肢など、残されてはいなかった――――。


