7月15日、あなたに告白します。

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ジリリリリリリリ――――――!!


 けたたましいアラームの音で、私は目を覚ました。


「よっし!」


 普段ならお母さんに呼びに来てもらうまで起きれないほど朝が弱い私だけれど、今日は違う。

 なぜなら今日は、7月15日だから!

 告白する日だから!

 普段寝起きが悪い娘がアラームひとつで飛び起きてきて、お母さんもお父さんも何事かと朝から大騒ぎだった。
 明日は雪が降るか、いや槍が降るか、と大げさな二人を背に、私は家を出た。


(もうどうしようっ!ドキドキする・・・っ!告白までまだまだ時間あるはずなのにーっ!!)


 今にも破裂しそうな胸を押さえて、私は自転車をこぐ。
 私の家から高校までは、自転車で約45分ほどかかる。

 私と同じ中学の子たちはみんなバス通学。

 にもかかわらず私が自転車で通学する理由は、たった一つだ。


「・・・・今日、会えるかな・・・」


 過ぎ行くバスに心をへし折られそうになりながら、バス停を三つほど通り過ぎて踏切へ。

 開かずの踏切と呼ばれて嫌煙されるここは、私にとっては大好きな場所。
 だって・・・。


「おはよう、日野さん」

「!」


 聞きなれた声で、私は振り返った。


「っお、おはよ!天ヶ崎くんっ!!」


 私のあいさつに、にこっとさわやかに微笑む彼。

 彼こそが、私の好きな人――――― 天ヶ崎(あまがさき) 清翔(せいしょう)くん!
 いや名前までかっこいいとか完璧か!!

 どこかの漫画のキャラですか?って言いたくなるほどの名前をもつ彼だけど、彼はそんな強キャラネームにも名前負けしないほどの輝かしいスペックをもっている。

 勉強、運動ができるのはもちろん、器用でなんでもそつなくこなし、人当たりもよく、容姿端麗。
 だけれども驕らず謙虚で慎ましやか・・・。

 これで好きになるなっていうほうが無理な話だ。


「日野さん・・・、少しくまがあるみたいだけど・・・大丈夫?」


 天ヶ崎くんは心配そうな視線を私に向けてくる。
 同時に少しだけ首をかしげて顔をのぞきこんできた。


(くっ、首傾げるのは反則っ!かわいすぎるっ!!)


 心の中で悶えながら、どうにか表面上は平静を保つ。


「あ、あはは、ちょっと寝不足でさー!」


 本当のことを言うと、明日告白するんだと思うと緊張で眠れなかっただけなんだけど・・・・、ここではさすがにそれは伏せた。


「そっか、寝不足だと熱中症になりやすいらしいし・・・、無理はしないでね」


 こんな気遣いまでできちゃうんです、私の好きな人は。
 天ヶ崎くんの優しさに感動しつつ、私は本題に入る。


「あ、あのさっ、天ヶ崎くんっ」

「ん?」

「きょ、今日の昼休みって空いてる・・・?」


 そう尋ねる私の胸は爆発しそうだった。
 もうドキドキとかいうレベルじゃなく、ドッギンドッギンいっていた。

 緊張しすぎてまともに天ヶ崎くんの目が見れず、ひたすら踏切の赤いライトを一心に見つめていた。


「あー、ごめん、今日の昼休みは委員会の集まりがあって・・・」


 言いにくそうにそう答える天ヶ崎くん。


「あっそうなんだー!ぜ、ぜ全然大丈夫だよーっ、あ、あや、謝らなくていいからーっ」

「・・・ほんとにそれ大丈夫な反応・・・?」


 動揺しすぎて、天ヶ崎くんにまたも心配させてしまった。

 いや、こんなことで折れていてはだめだ。
 そう思いなおし、静かに深呼吸して再突撃。


「じゃ、じゃあ放課後はどうかな?」

「放課後?うん、放課後は空いてるよ」


 天ヶ崎くんは優しい声でそう答えると、にっこり笑った。
 放課後もだめだったらもう心折れていたかもしれないからよかった・・・。


「えっと、ちょっと話があるんだけど・・・放課後二人きりで話せないかな?」


 私の言葉に、天ヶ崎くんは少しだけ驚いたような表情をしたけれど、また優しく微笑んで、いいよ、と快諾してくれた。

 会う約束を取り付けただけで、すでに告白したくらいの心拍数だった。
 放課後、私の身は無事だろうか・・・。

 数時間後の自分に想いを馳せていると、電車が近づいてくる音がした。


「あ、やっと来そうだね」

「・・・そうだね」


 また今日も来た、電車が。
 私と天ヶ崎くんの二人きりの時間を終わらせに。

 心の中で止まってくれと願ったけれど、当然電車は私たちのまえを無情にも軽快に駆け抜けていった。

 そして踏切がひらく。


「じゃあ、また教室で」


 天ヶ崎くんはさわやかな微笑みを一つ残し、踏切の先にいた男の子たちと合流すると、楽しげに会話しながら走り出す。


(今日は7分かー・・・まあよくやったほうだよ・・・)


 開かずの踏切なんて言うくらいだから30分ぐらい開かなければいいのに。
 なんて愚痴りながら、私も少し遅れて踏切を渡った。