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私が教室に入った瞬間、真っ先に深友が駆け寄ってきた。
「え!?え!?ど、どどうしたの!?その髪っ!!」
「え?あはは、ちょっといろいろあってさ」
「いろいろ!?」
一時間目いなかった奴が突然ばっさり髪を切って現れれば、当然何かあったのかと不安にもなるだろう。
そのせいで深友には心配をかけてしまったけれど、逆におかげで教員には休んだ理由を深く追及されずに済んだ。
「い、いじめとかじゃないよね・・・?」
「違うよ、大丈夫」
「そ、それとももしかして失恋・・・!?」
あながち間違ってはいない・・・。
けれど事を荒立てないよう、「違うよ」と否定しておいた。
他の女の子何人かからも心配してもらったけど、みんなにはあいまいな理由でごまかしておいた。
しかし残念ながら天ヶ崎くんからは特に声をかけてもらえなかった。
こうなっては仕方がない。
自分から行くしかない。
三時間目の社会の時間、私はまた天ヶ崎くんを班に誘った。
「天ヶ崎くん、いっしょの班にならない・・・?」
「え・・・?」
「天ヶ崎くんといっしょの班ならがんばれそうな気がするんだ。だめかな?」
私は言葉の節目節目で笑って見せた。
天ヶ崎くんは笑っている子が好きだから!
「い、いいけど・・・日野さん、端山さんと組まないの?」
そして三週目と同様の流れで、私、天ヶ崎くん、深友、佐倉くんの四人班が成立する。
計画通りだ・・・。
「じゃあ始めようか。テーマはSDGsにからめてってことだから、まずどの目標を主軸に発表するか考えようか。何か、これ気になるっていうのないかな?」
前回同様、天ヶ崎くんが真っ先に仕切り始めてくれた。
けれど深友も佐倉くんもいい意見が浮かばないようで、誰も話し出そうとしない。
ここだ。
年上にはなれないけれど、こういうところでこそ年上っぽい頼りがいのあるところを装わなければ。
「私は8の経済成長か、16の公正あたりがいいと思うなぁ。これまでの現社の内容にからめて発表できるし」
「確かにそうだね」
「それか4の教育、もいいかも。教育なら論じやすいし」
前回は天ヶ崎くんに仕切ってもらいっぱなしだったけど、さすがに三回もこの授業を受けていればすらすらと意見も出てくる。
っていうか最悪これまでの三回分の発表内容をすべて盛り込めば単純に他の班より三倍くらい良い発表ができるはずで。
ただ突然私が優秀になりすぎるのも変なので、いい感じのアイデアを時折発言しておいた。
おかげでうちの班の発表は先生に大好評。
発表が終わり、席に戻ったら、こそっと天ヶ崎くんが話しかけてくれた。
「ありがとう、日野さんのおかげでいい発表にできたよ」
「ううんっ、天ヶ崎くんが仕切ってくれたおかげだよ」
私は内心天ヶ崎くんにお礼を言われたことにおおはしゃぎしていたけど、年上の余裕、年上の余裕、と何度も念じて平静を保った。
「あ、そ、そういえばさ、天ヶ崎くん」
「ん?」
「・・・か、髪・・・切ったんだけど、どう、かな・・・」
私はちらっと天ヶ崎くんの表情をうかがいつつそう尋ねた。
「うん、似合ってるよ」
そう答えた天ヶ崎くんの顔は、いつも通りのさわやかスマイル。
(・・・短めが好きなんじゃなかったんかいっ!!)
手に持っていたシャーペンをへし折りそうになったけど、深呼吸をしてとりあえず無実のシャーペンを放してやる。
「にしても今日の朝、踏切で会えなかったから少し気にかかっていたけど・・・、もしかして髪を切りに?」
天ヶ崎くんから会話を広げてくれた!
私は大喜びで話し出す。
「うんっ!いろいろあって、どうしても今日、髪を切りたくてっ!!」
「どうしても髪を切りたい・・・?」
どういう状況だ?と言わんばかりに不思議そうな表情をした天ヶ崎くんだったけど、3班の発表が始まってしまい、会話は途切れてしまった。
(あーあ・・・この程度の時間じゃ惚れさせるなんて無理だよ・・・)
私はもう何度となく目を通した3班のプレゼン資料を、意味もなく見つめ続けるのだった。
私が教室に入った瞬間、真っ先に深友が駆け寄ってきた。
「え!?え!?ど、どどうしたの!?その髪っ!!」
「え?あはは、ちょっといろいろあってさ」
「いろいろ!?」
一時間目いなかった奴が突然ばっさり髪を切って現れれば、当然何かあったのかと不安にもなるだろう。
そのせいで深友には心配をかけてしまったけれど、逆におかげで教員には休んだ理由を深く追及されずに済んだ。
「い、いじめとかじゃないよね・・・?」
「違うよ、大丈夫」
「そ、それとももしかして失恋・・・!?」
あながち間違ってはいない・・・。
けれど事を荒立てないよう、「違うよ」と否定しておいた。
他の女の子何人かからも心配してもらったけど、みんなにはあいまいな理由でごまかしておいた。
しかし残念ながら天ヶ崎くんからは特に声をかけてもらえなかった。
こうなっては仕方がない。
自分から行くしかない。
三時間目の社会の時間、私はまた天ヶ崎くんを班に誘った。
「天ヶ崎くん、いっしょの班にならない・・・?」
「え・・・?」
「天ヶ崎くんといっしょの班ならがんばれそうな気がするんだ。だめかな?」
私は言葉の節目節目で笑って見せた。
天ヶ崎くんは笑っている子が好きだから!
「い、いいけど・・・日野さん、端山さんと組まないの?」
そして三週目と同様の流れで、私、天ヶ崎くん、深友、佐倉くんの四人班が成立する。
計画通りだ・・・。
「じゃあ始めようか。テーマはSDGsにからめてってことだから、まずどの目標を主軸に発表するか考えようか。何か、これ気になるっていうのないかな?」
前回同様、天ヶ崎くんが真っ先に仕切り始めてくれた。
けれど深友も佐倉くんもいい意見が浮かばないようで、誰も話し出そうとしない。
ここだ。
年上にはなれないけれど、こういうところでこそ年上っぽい頼りがいのあるところを装わなければ。
「私は8の経済成長か、16の公正あたりがいいと思うなぁ。これまでの現社の内容にからめて発表できるし」
「確かにそうだね」
「それか4の教育、もいいかも。教育なら論じやすいし」
前回は天ヶ崎くんに仕切ってもらいっぱなしだったけど、さすがに三回もこの授業を受けていればすらすらと意見も出てくる。
っていうか最悪これまでの三回分の発表内容をすべて盛り込めば単純に他の班より三倍くらい良い発表ができるはずで。
ただ突然私が優秀になりすぎるのも変なので、いい感じのアイデアを時折発言しておいた。
おかげでうちの班の発表は先生に大好評。
発表が終わり、席に戻ったら、こそっと天ヶ崎くんが話しかけてくれた。
「ありがとう、日野さんのおかげでいい発表にできたよ」
「ううんっ、天ヶ崎くんが仕切ってくれたおかげだよ」
私は内心天ヶ崎くんにお礼を言われたことにおおはしゃぎしていたけど、年上の余裕、年上の余裕、と何度も念じて平静を保った。
「あ、そ、そういえばさ、天ヶ崎くん」
「ん?」
「・・・か、髪・・・切ったんだけど、どう、かな・・・」
私はちらっと天ヶ崎くんの表情をうかがいつつそう尋ねた。
「うん、似合ってるよ」
そう答えた天ヶ崎くんの顔は、いつも通りのさわやかスマイル。
(・・・短めが好きなんじゃなかったんかいっ!!)
手に持っていたシャーペンをへし折りそうになったけど、深呼吸をしてとりあえず無実のシャーペンを放してやる。
「にしても今日の朝、踏切で会えなかったから少し気にかかっていたけど・・・、もしかして髪を切りに?」
天ヶ崎くんから会話を広げてくれた!
私は大喜びで話し出す。
「うんっ!いろいろあって、どうしても今日、髪を切りたくてっ!!」
「どうしても髪を切りたい・・・?」
どういう状況だ?と言わんばかりに不思議そうな表情をした天ヶ崎くんだったけど、3班の発表が始まってしまい、会話は途切れてしまった。
(あーあ・・・この程度の時間じゃ惚れさせるなんて無理だよ・・・)
私はもう何度となく目を通した3班のプレゼン資料を、意味もなく見つめ続けるのだった。


