クリスマスということもあって、その日は珍しく、チエリも沢山お客さんを呼んでた。

チエリが他のテーブルへ行ってる間は、ヘルプで別の女の子がくるけど、その3人で話が弾むことはなく、お客さんは私に話しかけることが多かった。

「それじゃ、メリークリスマス! チエリ、また連絡するから。マイちゃんもまた一緒に飲もうな!」

「またねー」

「ありがとうございました」

エレベーター前、ふたりで帰るお客さんを見送る。

「マイ、また呼べると思うから、少しだけ待っといて」

「……無理せんでいいよ」

「無理ちゃうよー。全然呼べる席やから」

店内へ戻る通路で、チエリはそう言って、指名のテーブルへと戻ってく。

それから間もなくして、ボーイから、再びダブル指名が入ったことを知らされた。


──チエリのお客さんは、大体2~3時間で帰る人が多い。でも、同時に4組、5組と呼ぶときもあるから、お客さんは指名しても、チエリを1時間以上待つこともある。

そんな状態やから、ダブル指名として呼んだ私が、席を離れずに接客することを、お客さんは喜んでくれる。

チエリのお客さんからすると、「仲良しを呼んでほしい」と頼まれるのは、チエリとの距離が一歩近づいたような気分にもなるのやろう。

ダブル指名をしてくれるお客さんは、みんな上機嫌で。私への当たりもすごく柔らかかった。