もう、外を歩くと、桜の花が咲いている。
ここは、東京、新宿。
ほのぼの新聞で記者の仕事をしているタカユキは、もう40代半ばになっていた。今日も、自宅の横浜から京急快特で、品川駅まで来て、それで、JR山手線で、新宿まで来た。
今は、2024年3月末だった。
世間では、メジャーリーグの大谷翔平選手が、大変な事態になっているが、こんな時、ほのぼの新聞の記者をしているタカユキは、つい羨ましく思ってしまう。それは、タカユキだって、朝日新聞だの読売新聞だの産経新聞だの、そんないっぱしの大手新聞社の記者をしたいのだが、そうは、いかない。
「ああ、俺も、あんな記事を書きたい」
なんて思っているのだが、できない。
本当は、そう思っている。
だが、今日は、女優の北川彩女という30代の女性の取材をしなさい、と言われた。
困った。
今日は、京急快特で、横浜から品川まで出て、これから、新宿の北川彩女の事務所へ向かっている。
だが、その北川彩女は、どんな女優なのか、分からない。
それで、Wikipediaで調べたらこうだった。
ー北川彩女 Wikipedia
1994年5月25日生まれ
出身 大阪府北大阪市
出身大学 武蔵大学文学部演劇科
趣味 読書 ゲーム ダンス 漢字を書くこと
尊敬する人 母親 父親 姉 有村架純
好きな音楽 いきものがかり『ブルーバード』『情熱のスペクトラム』 優里『ドライフラワー』
スポーツ バスケットボール 水泳
出演したドラマ
『music is lovers』(作・新橋イチロー)役 妻リノ役ー2023年7月~9月・講談テレビ
『miracle music in 2024.1.1』(作・新橋イチロー)楓役ー2024年1月~3月・講談テレビ
出演した舞台
『幼馴染』(作・新橋イチロー)志帆役ー2024年2月
タカユキは、新橋イチローなら少しだけ知っている。この新橋イチローは、同じ年代で、関西人だったはずだ。そして、一世風靡をしたが、どうも、今は、体調不良で、大阪に帰ったらしい。
だが、新橋イチローのドラマ『music is lovers』も『miracle music in 2024.1.1』も『幼馴染』も、少しは、ヒットしたが、このご時世、ドラマも視聴率を取るのは、難しいと思う。新橋イチローは、昔、一度、映像で観た時は、華奢だったが、最近では、太ってしまった。激務だろうと思った。
タカユキは、新橋イチローを、少しだけ、嫉妬していた。
同年代のくせに、生意気な奴だと思っていた。しかし、東京の生活が合わなくなって、大阪へ帰って、大阪のローカルタレントになったと聞いた。
さて、と思った。
タカユキは、若い時、シナリオライターになりたいと思っていた。
しかし、両親から、「シナリオライターになるのではなくて、もっと、全うな新聞社に入ることはできないか」と言われて、大学を卒業する前に、講談新聞社に入った。
今、Wikipediaを観たら、女優の北川彩女も、同じ大学を卒業していた。
そう、タカユキは、武蔵大学文学部国文学科で、夏目漱石を卒論で提出した。
そして、タカユキは、武蔵大学文学部にいたとき、実は、少しだけ、小さな新聞部を作っていたのだが、その時、タカユキは、部長だった。
思い出したら、北川彩女も、武蔵大学文学部だったのか、と思った。
懐かしかったなと思った。
北川彩女は、どんなキャンパスライフだったのか、と思った。
何だか、タカユキは、同じ大学を卒業しているだけでも、少しだけ、シナリオライターになっている新橋イチローに勝った気がしてきた。
そうだ。新橋イチローは、そんな武蔵大学文学部なんて通っていないはずだ、と思った。でも、北川彩女は、そもそも、女優で、少しだけ、有村架純さんに似ているとも思う。だが、事務所の意向で、CMなどがヒットしたわけではなかった。
スマホで、北川彩女のエゴサーチして、それで、今、事務所のドアを開いた。
「すみません」
「はい」
「あけぼの新聞の磯野タカユキですが」
「ああ、今日の取材の方ですね」
「はい」
「お待ちしておりました」
「はい」
「当社の北川彩女は、あちらの部屋に待機しております」
と言って、会社の受付で、名刺を渡して、事務所のマネージャーと挨拶をした。ただ、何となく、マネージャーは、元気がなさそうとタカユキは、思った。マスコミ関係者が、嫌いなんだろうか?いや、それなら、タカユキは、何度も知っている。
今日は、そんな感じではなかった。
部屋に入った。
「あけぼの新聞の磯野タカユキです」
「私、クライマックスオフィスの北川彩女と申します」
と言った。
タカユキは、画像で、観た北川彩女と、目の前の北川彩女に、少し、違いがあるのに、戸惑った。
いや、映像だともう少し、大きいと思ったが、そうではなかった。
しかも、顔が、北川彩女と分からない。
ここは、東京、新宿。
ほのぼの新聞で記者の仕事をしているタカユキは、もう40代半ばになっていた。今日も、自宅の横浜から京急快特で、品川駅まで来て、それで、JR山手線で、新宿まで来た。
今は、2024年3月末だった。
世間では、メジャーリーグの大谷翔平選手が、大変な事態になっているが、こんな時、ほのぼの新聞の記者をしているタカユキは、つい羨ましく思ってしまう。それは、タカユキだって、朝日新聞だの読売新聞だの産経新聞だの、そんないっぱしの大手新聞社の記者をしたいのだが、そうは、いかない。
「ああ、俺も、あんな記事を書きたい」
なんて思っているのだが、できない。
本当は、そう思っている。
だが、今日は、女優の北川彩女という30代の女性の取材をしなさい、と言われた。
困った。
今日は、京急快特で、横浜から品川まで出て、これから、新宿の北川彩女の事務所へ向かっている。
だが、その北川彩女は、どんな女優なのか、分からない。
それで、Wikipediaで調べたらこうだった。
ー北川彩女 Wikipedia
1994年5月25日生まれ
出身 大阪府北大阪市
出身大学 武蔵大学文学部演劇科
趣味 読書 ゲーム ダンス 漢字を書くこと
尊敬する人 母親 父親 姉 有村架純
好きな音楽 いきものがかり『ブルーバード』『情熱のスペクトラム』 優里『ドライフラワー』
スポーツ バスケットボール 水泳
出演したドラマ
『music is lovers』(作・新橋イチロー)役 妻リノ役ー2023年7月~9月・講談テレビ
『miracle music in 2024.1.1』(作・新橋イチロー)楓役ー2024年1月~3月・講談テレビ
出演した舞台
『幼馴染』(作・新橋イチロー)志帆役ー2024年2月
タカユキは、新橋イチローなら少しだけ知っている。この新橋イチローは、同じ年代で、関西人だったはずだ。そして、一世風靡をしたが、どうも、今は、体調不良で、大阪に帰ったらしい。
だが、新橋イチローのドラマ『music is lovers』も『miracle music in 2024.1.1』も『幼馴染』も、少しは、ヒットしたが、このご時世、ドラマも視聴率を取るのは、難しいと思う。新橋イチローは、昔、一度、映像で観た時は、華奢だったが、最近では、太ってしまった。激務だろうと思った。
タカユキは、新橋イチローを、少しだけ、嫉妬していた。
同年代のくせに、生意気な奴だと思っていた。しかし、東京の生活が合わなくなって、大阪へ帰って、大阪のローカルタレントになったと聞いた。
さて、と思った。
タカユキは、若い時、シナリオライターになりたいと思っていた。
しかし、両親から、「シナリオライターになるのではなくて、もっと、全うな新聞社に入ることはできないか」と言われて、大学を卒業する前に、講談新聞社に入った。
今、Wikipediaを観たら、女優の北川彩女も、同じ大学を卒業していた。
そう、タカユキは、武蔵大学文学部国文学科で、夏目漱石を卒論で提出した。
そして、タカユキは、武蔵大学文学部にいたとき、実は、少しだけ、小さな新聞部を作っていたのだが、その時、タカユキは、部長だった。
思い出したら、北川彩女も、武蔵大学文学部だったのか、と思った。
懐かしかったなと思った。
北川彩女は、どんなキャンパスライフだったのか、と思った。
何だか、タカユキは、同じ大学を卒業しているだけでも、少しだけ、シナリオライターになっている新橋イチローに勝った気がしてきた。
そうだ。新橋イチローは、そんな武蔵大学文学部なんて通っていないはずだ、と思った。でも、北川彩女は、そもそも、女優で、少しだけ、有村架純さんに似ているとも思う。だが、事務所の意向で、CMなどがヒットしたわけではなかった。
スマホで、北川彩女のエゴサーチして、それで、今、事務所のドアを開いた。
「すみません」
「はい」
「あけぼの新聞の磯野タカユキですが」
「ああ、今日の取材の方ですね」
「はい」
「お待ちしておりました」
「はい」
「当社の北川彩女は、あちらの部屋に待機しております」
と言って、会社の受付で、名刺を渡して、事務所のマネージャーと挨拶をした。ただ、何となく、マネージャーは、元気がなさそうとタカユキは、思った。マスコミ関係者が、嫌いなんだろうか?いや、それなら、タカユキは、何度も知っている。
今日は、そんな感じではなかった。
部屋に入った。
「あけぼの新聞の磯野タカユキです」
「私、クライマックスオフィスの北川彩女と申します」
と言った。
タカユキは、画像で、観た北川彩女と、目の前の北川彩女に、少し、違いがあるのに、戸惑った。
いや、映像だともう少し、大きいと思ったが、そうではなかった。
しかも、顔が、北川彩女と分からない。