玄関の前で、先輩の手が離れていく。 ま、ご家族の前でイチャイチャなんて、それこそ先輩が嫌いそうだし。 仕方がない。 先輩が鞄から鍵を取り出して、かちゃりと音が鳴る。 「あ、そういえば」 ドアを開ける寸前。 「うち、今日誰もいないんだわ」 ────え? 引かれた腕。閉まる扉。 「エイプリルフール、だからな」 そう言って笑った先輩。 「え、え?……んぅ」 上がった戸惑いの声は、先輩の口内へと吸い込まれ、ざらりと溶けていった。 …………えいぷりるふーる、すごい。 おわり