そう言って差し出したのは、制服のボタン。

ボタンをつけていない場所は、第2ボタンのところだけ。

「ほんとに私でいいの?」

もらえるなんて思ってもなかった。

付き合えるなんて、考えてもなかった。

「咲華は、俺じゃ嫌?」

ずるいよ、その聞き方。

「ううん、嫌じゃない、私も好きだった、ずっと恭弥のこと、好きだったよ」

でも嬉しい、両思いなれたことが。

「それは知らなかった」

「だって、バレないように徹底してたから、それに、女の子に囲まれてばかりいて、最近話せてなかったし」

ヤキモチ焼いてたのはナイショ。

「でもずっと好きでいてくれたんだ?俺も、ずっと好きだった」

「全く気づかなかった、お互い、好きだったんだね。両思い、なっちゃった」

「何その悪いみたいな言い方すんの」

「夢みたいだから、私の初恋、叶っちゃった」

嬉しい、大好き。抑えてた思いが溢れ出てくる。

「俺も。もっと早くに伝えてたら良かったかも、時間掛かりすぎたな」

「それでも、つたえてくれたことが、すっっっごくうれしい。ありがとね恭弥」

桜は満開にはならなかったけど、わたしたちの恋は結ばれた。

もらえると思ってなかった、第2ボタン。

恭弥の大事な人に、私なれたよ。

春から違う高校だけど、初恋で結ばれた私達の恋なら大丈夫だよねっ。