イヴァンの言葉に、ヴァイオレットは「ありがとうございます」とお礼を言う。

そして、イヴァンとヴァイオレットはフェリシアーノ、オリバー、サクラとともに怪物が暴れているという街へとやって来た。

「あれが、怪物……?」

怪物の姿を見たイヴァンは、目を見開く。ヴァイオレットも、見た事のない怪物の姿に驚いた。

そして、怪物はイヴァンたちの方を向く。不気味に光る赤い目に、ヴァイオレットの体が震えた。

そんなヴァイオレットを、イヴァンはそっと抱き寄せる。

イヴァンたちを見据え、怪物は唸り声を上げた。次の瞬間、景色が変わる。さっきまで街にいたイヴァンたちは、気が付けば森の中にいた。

それに驚く暇などなく、イヴァンは怪物を見据えて杖を構える。

怪物の纏う禍々しい空気に、イヴァンの頬を一筋の汗が伝った。

怪物が、動き出す。

その時、怪物の近くに黒い光弾が落ち、怪物は足を止めた。

そして、イヴァンたちの目の前に、誰かが着地する。

誰かの肩まで伸びた黒髪が、風でふわりと揺れた。



イヴァンたちが怪物と戦うために街へと向かう数時間前、イヴァンたちとは違う世界で暮らす魔王の側近、ルーチェ・クロウディアは1つ欠伸を零しながら廊下を歩いていた。