拝啓、親愛なる魔王様へ【親愛なる魔王の君へ×人狼様に嫁ぎます】

ハルはそう言い、魔法を使って手に持っていた本を宙に浮かせる。ハルが杖を本に向けて、横に振ると、本は勝手に開いた。誰も触れていないのに、だ。

その光景に、ハル以外の全員は驚いた。

「これ、魔法書。高度な魔法が沢山載っているんだ。異世界に行ける魔法も、これに載っていたよ」

驚く皆を他所に、ハルはそう言いながら魔法書を捲る。

「…………お」

しばらく無言で魔法書を捲っていたハルは、とあるページで手を止めた。

「この魔法とかどう?真実を見ることが出来る魔法だって。どうする?」

ハルの言葉に、イヴァンは「お願いするよ」と答える。

「はーい。今から使うよ!」

そう言って、ハルは杖を構えた。そして、魔法書を見ながらハルは呪文を唱える。その呪文は、ハル以外の皆には聞き慣れない言葉だった。

ハルが呪文を唱えると、ハルの持つ杖の先に小さな煙が生まれる。その煙は、徐々に大きくなり、やがて部屋中を包み込んだ。

そして、ザザっと音がした後、どこからともなく声が聞こえる。煙には、フードを深く被った2人の人物が映っていた。

2人は、何かを話しているようだ。その様子を、ルーチェたちは見つめる。

『ーー交渉成立だ。2つの世界を、我々で滅ぼすことにしよう』

『あぁ。手始めに、異世界でモンスターを暴れさせようではないか。それで、恐怖を与えてーー』