「ふっ。かわいーね、まお」



そう言う声が聞こえたと同時。



──────ちゅっと、耳に触れた甘い熱。



「〜〜っ、」



(ぜっ、絶対わざとじゃん!からかってる!)



確信したけど、声に出せないままでいると。



「まおが、〝礼侍〟って呼んだらやめる」



そう言って、
いたずらっ子な笑みを浮かべると。



「ひゃっ!」



礼侍が服の裾から、
手を入れてきて、思わず変な声が漏れた。



(〜〜っ、うそうそうそっ、
これは真面目に、ヤバいっ、てっ、)



止まって貰わなきゃ困る、から。



私は、ギュッと強く目を閉じると。



「〜〜っ、だめだよ、礼侍、っ」



〝さま〟を付けないまま、
──────久しぶりに呼び捨てにした。