「それって惚気?」

ミモザとアイリスがニヤニヤしながら言い、ヴァイオレットは「惚気だなんて……!」と慌てて否定するも、その顔は真っ赤に染まっており、説得力はない。その時、部屋のドアがノックされた。

「ヴァイオレット、準備できた?イヴァン様はもう終わったよ」

ドアの外で声をかけているのは、リオン・カランコエだ。ヴァイオレットが答えるよりも早くアイリスが「もうすぐ終わる!」と返事をし、ヴァイオレットのメイクを再開した。

数分後、ヴァイオレットは水色のスレンダーラインのドレス姿をイヴァンに見せていた。ドレスにはシルバーとブルーのスパンコールが光り輝き、グリッターチュールのマントがついている。ドレスはイヴァンが選んだものだ。

「イヴァン様、どうでしょうか?」

「……よく似合ってる」

イヴァンはそう言い、ヴァイオレットの頰に触れる。するとリオンが咳払いした。

「イヴァン様、ヴァイオレット様、遅刻してしまいますよ?」