人狼様と魔王の側近

「一体誰が何の目的でその本を作っているのか、これが問題だな」

ルカが顎に手を当てながら言う。しかし、黒い本による失踪事件の手がかりはほとんど何もないのが現状なのだそうだ。

「本は突然現れ、人を本の中に閉じ込め、どこかへ消えてしまうらしい。だから手がかりはゼロ。強力な魔法で本が作られているということ以外は何もわかっていないんだ」

ギルバートがそう言い、部屋に沈黙が訪れる。誰一人言葉どころか音一つ立たなかった。ルーチェは考え込んでいた。手がかりがない中、どこに現れるかわからない本を探さなくてはならない。それは時間のかかる作業だ。解決できるのかわからない。不安が胸に押し寄せる。

「何の手がかりもないのであれば、本を探し出すしかありませんね」

沈黙を破ったのはヴィオレットだった。彼は自身の呪具を撫でる。

「ここで話し合っていても、何も解決しないと思います。事件が起きているのはここではありませんから」

「それもそうだな」