淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~

背が低めの金山さんの目線に合わせて、もう一度頼んでみる。

金山さんの会いたいという気持ちも痛いほどわかるが、会って意識がない状態を見て悲しむ彼女を思うと、今回は引き取ってもらうのが正解だろう。


「わかりました。それまで、主人をよろしくお願いいたします」


声を震わせながら、もう一度頭を下げた金山さん。どうやら、納得してくれたようだ。


「もちろんです。看護師共々、全力を尽くします」

「ありがとうございます」
「こちらこそ。それにしても、とてもきれいな花束ですね」


納得してくれた金山さんの気分を換えようと、彼女が抱えている花束に話を振った。

黄色とオレンジのガーベラが2本、その周りには、白いカスミソウがきれいにラッピングされている。


「そうでしょう。これね、この病院の近くにある『フラワーショップ さくら』で造ってもらったんです。主人の状況を話したら、『早く元気になるように』って明るい色のガーベラを包んでくださって」

金山さんは、そのときの状況を嬉しそうに話してくれる。

よほど、店員さんに優しく接してもらえたのだろう。


「それはそれは。素敵なお店ですね」
「えぇ。店員さんが素敵な方でね。確か〝本郷さん〟と、ネームプレートに書いてあったわ」

「……えっ? 本郷?」