高校生は私にとって憧れだった。朝は友達と学校に行って、友達と勉強して、放課後は友達と遊んで…。そんな毎日を想像していると、楽しみで仕方がなかった。でもそんなワクワクな気持ちは一瞬で過ぎ去っていった——
高校1年の冬。
放課後の誰もいない教室の黒板を私は1人で消していた。
「やっぱり友達なんてできないんだ…」
無意識のうちに独り言を呟いた。
そして嫌でも思い出してしまう。あの時の事を——
「友達になりませんか?」
入学式の日、勢いで話かけた隣の席の女の子の一言目は、私にだけはっきりと聞こえた。
「気持ち悪…」
その一言は一瞬で私の思い描いていた理想を全てボロボロに砕いていった。私はどうしたら良いのか分からず、固まってしまった。
それからは友達を作ろうとしたことが無い。話しかけたら嫌われる。それならこのままがいい。そう無理矢理にでも思うようにしていた。
幸い、私には中学の時からの友達が同じ高校に1人いた。有田 鈴(アリタ スズ)だ。いつも私の相談に乗ってくれる優しい女の子。でも鈴とはクラスも違えば、教室の棟も違った。だから鈴と話すことが出来るのはのは、登校時と下校時だけだった。鈴との時間以外はずっと1人だった。
「よし、できた」
黒板が綺麗になったのを見て、鞄を持ち、教室を出ようとしたその時。
「凪!ごめんね、遅くなっちゃって。今帰るとこ?」
鈴が教室まで来てくれた。
息が切れていて、鼻が少し赤くなっている。急いで私の所に来てくれたのだろう。
「うん!じゃあ帰ろっか」
私たちは靴を履き替え、いつもの帰り道へと歩き出した。
帰り道、鈴が思いも寄らないことを聞いてきた。
「ねぇ凪、学校で私がいない間、他の友達と仲良くできてる…?」
鈴は、私が学校で1人でいることを薄々気付いているようだった。でも、私は唯一の友達に心配をかけたくはなかった。
「私、こう見えてクラスでは1人の方が楽で良いんだよね。だからクラスで友達は、出来るだけ作らないようにしてるの。勿論、鈴は別だからね!!心配しなくても、私は大丈夫だよ」
私は嘘をついた。引きずった笑顔を作りながら。
「そう…?それなら良いんだけど…」
鈴はそれ以上何も聞いてこなかった。
本当は言いたかった。1人は嫌だ。もっともっと友達を作りたいって。でも私には出来ない。無理なんだ。
私はまた思い悩んでしまったのだろうか。
何故かその日はなかなか眠ることが出来なかった。
気が付いたら高校1年生の冬は過ぎ、私は2年生になろうとしていた。
高校1年の冬。
放課後の誰もいない教室の黒板を私は1人で消していた。
「やっぱり友達なんてできないんだ…」
無意識のうちに独り言を呟いた。
そして嫌でも思い出してしまう。あの時の事を——
「友達になりませんか?」
入学式の日、勢いで話かけた隣の席の女の子の一言目は、私にだけはっきりと聞こえた。
「気持ち悪…」
その一言は一瞬で私の思い描いていた理想を全てボロボロに砕いていった。私はどうしたら良いのか分からず、固まってしまった。
それからは友達を作ろうとしたことが無い。話しかけたら嫌われる。それならこのままがいい。そう無理矢理にでも思うようにしていた。
幸い、私には中学の時からの友達が同じ高校に1人いた。有田 鈴(アリタ スズ)だ。いつも私の相談に乗ってくれる優しい女の子。でも鈴とはクラスも違えば、教室の棟も違った。だから鈴と話すことが出来るのはのは、登校時と下校時だけだった。鈴との時間以外はずっと1人だった。
「よし、できた」
黒板が綺麗になったのを見て、鞄を持ち、教室を出ようとしたその時。
「凪!ごめんね、遅くなっちゃって。今帰るとこ?」
鈴が教室まで来てくれた。
息が切れていて、鼻が少し赤くなっている。急いで私の所に来てくれたのだろう。
「うん!じゃあ帰ろっか」
私たちは靴を履き替え、いつもの帰り道へと歩き出した。
帰り道、鈴が思いも寄らないことを聞いてきた。
「ねぇ凪、学校で私がいない間、他の友達と仲良くできてる…?」
鈴は、私が学校で1人でいることを薄々気付いているようだった。でも、私は唯一の友達に心配をかけたくはなかった。
「私、こう見えてクラスでは1人の方が楽で良いんだよね。だからクラスで友達は、出来るだけ作らないようにしてるの。勿論、鈴は別だからね!!心配しなくても、私は大丈夫だよ」
私は嘘をついた。引きずった笑顔を作りながら。
「そう…?それなら良いんだけど…」
鈴はそれ以上何も聞いてこなかった。
本当は言いたかった。1人は嫌だ。もっともっと友達を作りたいって。でも私には出来ない。無理なんだ。
私はまた思い悩んでしまったのだろうか。
何故かその日はなかなか眠ることが出来なかった。
気が付いたら高校1年生の冬は過ぎ、私は2年生になろうとしていた。