「よし、じゃあ何しようか？」　
　彼女は楽しそうに質問してきた。
「決めてないの？」
「うん、何したい？」
　何故かキラキラな目で聞いてくる。
「うーんわかんないな」
　本当にわからない。
　僕はジュースを一口飲む。甘酸っぱいオレンジジュースだ。不躾ながら、部屋を見渡す。今更ながら部屋は涼しい。それに漫画がたくさんある。
「とりあえず漫画でも読む？」
「えーー。せっかくのデートなのに、まあやれることないしいいね」
　彼女は少し拗ねているが本当にやることがない。
「じゃあさお互いに質問しながら読もうよ。私たち、お互いの事あんまり知らないでしょ。」　
　その通りだ。僕たちは話したことがあまりない。だから、彼女は僕と居て楽しいのだろうか。
「うん、僕、涼木さんのこと知りたいし」
　…しばらく沈黙が続いた。僕は何か変な事でも言ったのだろうか。　
「どうかした？」
　少し不安になってきた。そしたら彼女は慌てて首をふった。
「いやなんでもないよ。ただちょっと嬉しかった。」
　彼女は本当に嬉しそうな顔をした。