彼は推しと瓜二つ

音は名前を呼ばれ、反射的に後ろを振り向く。

音「えっ………?あっ……!…うん、大丈夫…」

その男性は深くキャップを被って目元がちゃんと見えないが、音はすぐにMITSUKIだと気付く。

MITSUKI「…その人だれ?」

酔っ払いの男は、自分よりも身長が高く、目元が見えなくても伝わってくるイケメンの雰囲気に圧倒され、何も言わずに、そそくさと離れていく。


MITSUKIは酔っ払いの男が見えなくなるのを確認し、
小声で音に話しかける。

MITSUKI「…ごめんなさい、急に名前で呼んじゃって。
大丈夫でしたか?」


音「いえ!!ありがとうございます。とても助かりました。すみません、また助けて頂いちゃって……。」


MITSUKI「いえ、ああいう軟派な奴は第三者から見てもウザいですし…。
あ、でも、“また”じゃないんですよね。」

音「えっ?でも…雅之さん、前もお店で助けてくれた時に同じ事を言ってましたが……」


MITSUKI「まじか!さすが双子…。
俺は光之です。まさかの昨日ぶりですね。」

音「すみません、光之さんだったんですね…。
まさかここで会うなんて…びっくりです。
あ、付けてきたとかじゃないですよ‼︎私はただ友達に誘われて…」

光之「分かってますよ(笑)
この店は何日も前から予約しないと入れないみたいですし。」

音「………。」

光之「あれ…?杉山さん、どうしました?」

音「…そういえば、光之さんが私に笑いかけてくれたの、初めてだなぁって思って……
……あ、いえ、すみません‼︎気にしないでください…」

音はつい思った事を言ってしまい、我に返り焦っている

音「て、ていうか、そろそろ戻らないと一緒に来た方が心配しちゃいますよね…
では、ありがとうございました!失礼します…」

音は軽く会釈をして、光之に背を向けて帰ろうとする

光之「…あ、待って!」 


光之が、後ろから音の右手首を握る


光之「………ごめん、これでもう会えなくなるなんて寂しいからさ、もう少しだけ話せない?」