それから、何回か抗争があって。

全部みんなと頑張った。

今日は、引退式。

今回は結構特殊な方で。

みんな同い年だから、みんな一気に抜けた。

本当に、新しい幹部と、新しいトップと。新しい族を作ってもらう。



みんなの特攻服も見納めかぁって。ずっと写真撮ってた。


凪はやっぱり、無口で人に感情を伝えるのが苦手だけど、それでも、みんなと笑って話してる。


伊織さんは、ふわふわしてるけど、ちゃんと根があって、後輩にもその意思は継がれているし。


まぁ、旭は、うん。おちゃらけてムードいっぱい作ってくれたし。


千颯は、出会った時は冷たかったけど、今だと優しくなった。




みんな、みんな成長してて。

みんなみんな強くなってて。

それなのに、私はちっとも成長していない。

大切なことから目を背けて。

ねぇ、どうしたらもっと強くなれる?

ねぇ、教えてよ。




凪がね、気づいて、ギュッって。抱きしめてくれた。

気づかれないように2階の幹部室にいたんだけどな。



大丈夫だよ。
大丈夫。
紬はそのままでいい。



ずっと囁いてくれた。


どれくらい経ったかわからないけど。

凪に手を引かれてみんなの元に戻った。


“わぁー、紬さん、総長とラブラブですね〜”

とか、

“紬さんいなくなったら、総長ライオンっすよ笑”


とか。

“いっつも猫みたいな2人見てると楽しかったっす”

とか。

凪はそれ貶してるだろーとか言って笑ってる。


ありがとね。

微笑んだら、朝日と共に倉庫に桜の花びらが舞い込んできた。

あぁ、もう朝だ。

みんなで一列になって、

思い想いのことを言って、

「「「「ありがとうございました‼︎」」」」


泣いてる子達もいっぱいいて。愛されてるんだなぁって。

倉庫を出る時、振り返らなかった。

新しい道を進むために。

また、顔は出すと思うけど、また、みんなと遊ぶだろうけど。

この族はお前らに任せるの気持ちを込めて。倉庫を後にした。