あたしはまだ、塩谷くんと話したことがなかった。 せっかく、2人だけなのに!!話しかけたい! 二人きりの空間になるなんて滅多にない。 塩谷君は下駄箱を開け靴を取り出そうとしていた。 早くしないと行っちゃう! 勇気を振り絞ってみた。 「あのっ!」 彼は驚いた顔をしてこっちを見た。 「あの、し、塩谷浩基くんだよねっ??」 彼の下の名前は「こうき」と読む。 だけど先生たちもよく、「ひろき」と間違えていた。