クニチカにもらったのは、はちみつ紅茶味のキャンディーだったと思う。それを舐めながらだんだんと目覚めてきた頭で、皆のやり取りを聞いていると…細谷ルミには何かを思うほどではなく、ただ面倒な人だなと思う。

クニチカたち3人にナオキ兄が加わった4人を見ていると、無駄に煽るようなことを言わないクニチカが一番大人に思える。

前は…食堂とかで、クニチカも煽っていたようにも思うけど、数週間で大人びたのだろうか?日々のトレーニングで自信をつけているのかもしれない。それってカッコいいな。

そして私自身、皆が私と仲良くしてくれているのも理解出来てると思う。じいちゃんの言ったように、私から関わるとまではいかなかったけれど、クニチカやナオキたちが声を掛けてくれることには慣れたし、うちできぃちゃんやユキちゃんと過ごす時間とは全然違うリズムが新鮮で嫌ではなかった。

これって友達なのかな、と思うからね…私は友達のピンチは助けたいと思うんだ。

ただ…さゆちゃんポジっていうのは説明を聞いても理解出来ない。細谷ルミは永中の生徒と仲良くしてるんだから、それでいいのに。

そう思って振り向くと、5人くらいの男子に囲まれた細谷ルミと目が合った。

「あれで…同じだよね…」
「さゆちゃんはまだまだ甘いね」
「北中くん、そこもさゆみんの可愛いところだから」

自分があまり褒められていないことは分かる。でも

「人の真似とか、人を攻撃したいとかって、何かの欲求だよね?アタシにはない感情だから…やっぱり分からないな」

と…私は何故かクニチカに向かって言っていた。