本当は売店で何か買って教室で食べるつもりだった。

まず登校直後、席に着いてしまうとこれまで通りに過ごしてしまいそうで、じいちゃんの言った“皆が動いてくれた事を考える”結果、立ったままでB組のみんなにありがとうと伝えた。私が休みたかったことは別にして、みんなが動いてくれたことにありがとうだ。

すると思った以上の盛り上がりを見せるクラスメイトに驚き、半分逃げるようにA組にもお礼に行ったんだけど…そこには私が去年も今年も同じクラスじゃない人がいる。

咄嗟にとった行動が、直近に話した三井くんを呼ぶってことで彼の席まで行く。ここまでは我ながら成功だけど、四方八方からの視線に若干の緊張を覚えた。

三井くんは率先的に動いてくれたからありがとうと伝えないと…でも私と同じクラスになったことのない人の視線も浴びて…三井くんを見ているのだろうけど、その人たちも動いてくれたかもしれないし…

考えるうちに“え”とか“あ”とか“ま”とか言ってしまったけれど、ちゃんとみんなにありがとうと言えたと思う。

その間、三井くんが持っていたハンドグリップが気になった。

何キロだろ…トレーニングにしては回数も関係なく無造作に握ってるな。ちゃんと調節機能のついたグリップなのに、ちゃんと使わないともったいない。

そう思って“三井くん”と呼んだら、なんだか彼は嬉しそうでちょっと可愛いかった。グリップのこと聞いて欲しかったのかな?