2-B 西名紗友美 1週間の停学処分

翌日登校すると、とんでもない知らせが学園内を駆け巡り、学年を問わずにざわついた。

「正季くんのところに行く」
「一緒に行くよ」

俺は授業を受けずに直季と3年のクラスへ向かうと

「正季くん、ちょっといい?」

もうすぐ授業が始まるという教室内の正季くんを廊下から呼んだ。

「うーん、いいよ。直季も?さっき一緒に家から来たとこじゃん。どうした?」

すぐに廊下に出て来た正季くんはクラスメイトの視線を集めているのを知ってか扉を閉めた。

「うん。2年の女の子の停学聞いた?」
「聞いた、ヨソと喧嘩だって。どうかした?」
「あれ、全くのウソでデマでガセでホラ。俺も直季も全部見てたけど、西名さんは1年の女の子を助けただけ。そのあとで自分もメガネを潰されて被害にあってる。なのに学園は停学処分だってクソだろ?」

正季くんはポケットに手を入れて直季を見る。

「邦親と一緒に見た。西名さんは悪くないよ。強くてカッコよかっただけ」
「へぇ~強くてカッコよかったんだ。いいね」

直季、要らない情報を伝えるなよ。

「で、チカは俺にどうしろって?」
「俺たちと一緒に授業ボイコット。彼女の停学期間中ね」
「わぉ、3年の秋にすごいこと頼まれてる」
「正季くんは余裕でしょ?」
「まあな。やったことないから、挑戦してみるか…」

ここで先生がやってきて

「授業始まるぞ、入れ」

と、前の扉から教室へ入った。ガラッ…後ろの扉を勢いよく開けた正季くんは

「無実の子へ停学処分を出した学園に抗議して授業ボイコットしまーす。女の子には優しくなくちゃ…困った学園だ」

と自分のカバンを手に廊下へ出てきた。よし、俺たちも同じようにすると何人もが付随するはず。