「邦親、西名ちゃんとファミレスまでデートしていいよ。僕はあとでフミくんと行くから」

ナオキがそう言うからとりあえず車屋さんの前に出たけれど

「クニチカ…デートって…何すればいいのかな?アタシ、具体的には分からないんだけど…」

とクニチカを見る。

「二人一緒に過ごすだけでデートなんじゃないかな?」
「……自主申告みたいな?」
「ははっ、そうだな。さゆみんと俺は今からデートしまーす」

自主申告を実践するかのようにそう言ったクニチカは私と手を繋ぐと

「いい?大丈夫?」

と顔を覗き込む。

「ん」
「良かった」
「ファミレスまでどのくらい?」
「うーん…20分くらいかな?」
「そっか。アタシ、お腹へってきた…」
「俺も。ライス大盛り決定」
「アタシも」
「メニューは決まってないけど」
「アタシも」
「フミくんとおじちゃんが下田さんたちを知ってるってヤバいよな…」
「だね」

そう頷きながら、クニチカと親戚関係だとはしもっちゃんたちは調べていたんじゃないかと思う。私がクニチカやナオキと放課後に遊びに出ていた時点で調べていただろう。でもただそれだけで、私が車屋さんに行くとも思っていないし、行ったところで何も隠す事もないってこと。ユキちゃんは

“タカフミともクニチカとも会いたいから、このあとそこのファミレス集合ね”

と普通に言ったんだ。