□□□

「ゎゎわ…三井クンだぁ」
「チカくん、カッコよ…はぁ…ため息…」
「星逢御三家って言うけど、三井クンがダントツナンバーワン」
「アハハハ〜なんでそんなカクカクのナンバーワン?」
「離れてても緊張するもーん」
「キャハッ…わかりみがすごい」
「うん、理解リカイ…ぁ、目が合った」
「うちだよ、うちと目が合ったって」

女子校かと思うくらい女子生徒だけが重なり合い、女子の声しか聞こえないのは星逢学園高校(ほしあいがくえんこうこう)

2年A組 三井邦親(みついくにちか)

ライダー俳優かと思うような顔と足取りで廊下を歩けば、ライブ会場の盛り上がりと歓声が上がり、時折悲鳴までが入り乱れる。

そのタイミングで、ふと立ち止まるとクルッ…ギャラリーへと視線を送ることも忘れない。

「邦親、毎日よくやるよな」
「習慣。癖だから問題ない」
「相変わらず、あの子は座ったままだけど」

邦親に言うのは同じクラスの親友、清川直季(きよかわなおき)

ちなみに星逢御三家とは女子生徒の勝手調べによって出来た名称で、3年の清川正季(きよかわまさき)北中豪(きたなかごう)、そして邦親。正季は直季の兄だ。正季と北中が卒業すれば直季も御三家入り確実などと、女子生徒は勝手調べを来年度予算案ならぬ、来年度予想にまで発展させている。

□□□