私は今日も毎日のように、夜の東京を眺めながら小説の1文を書いている。
「夜の東京の景色もそこまで悪くない。だが、貴方との思い出はもっと綺麗な夜景のようだった。」
そんなことを書いて今日も一日が終わった。
ご飯を食べ、お風呂に入り、ベットに入る。そんな平凡な暮らしを私は毎日繰り返している。 そして、ベットに入りいつも思いだす高校時代のこと。
私は、 東京が嫌いだった。満員電車も夜の街の光もキラキラしたあの綺麗な女子高生も全部全部私には無いもので全て嫌いだった。
大切なあの人は、田舎町から東京に引っ越してきた転校生だった。 2年生の途中に転校してきたからなのか、その学校ではあまり人と馴染めずクラスではずっと教室の隅で小説を読んでいた。
初めて話した時のあの顔を今でも思い出せるほど、今まで見てきた中で1番綺麗だった。
その子が読んでいた小説は確か恋愛ものだったはずだ。
私は東京の街がずっと嫌いだった。そのため街から目を逸らすために沢山音楽を聴いたり本を読んで人との関わりを遮断していた。
でも初めて、こんなに関わりたいって思えた子が貴方だった。 でも貴方のことを私はいつも思い出せない。名前もどこにいるのかも。
ここで私の意識は途切れた。
朝、目覚めるとまたいつものように平凡な日常が始まった。