「……なんでも、ないよ。俺が歌って欲しい人は、居ないんだ。だから、頼まない」

「そっかぁ。それでも、私が潤の曲を好きってことは変わらないからね!」

ナイトテーブルに置いてあった、俺のCDを顔のそばまで持ってきて、あの笑顔でそう言ってくれる。

「うん、ありがとう」

「ふふっ。あ〜、次の曲も楽しみだなぁ」

「早い早い。前の曲作ったの一ヶ月前とかだけど」

「だって好きなんだも~ん」

この時は、知らなかったんだ。

この笑顔が、一度、途絶えることになるなんて。