「君は今まで、全て……まあ、楽曲提供はなしとして、全ての楽曲を自分で作り、自分で歌ってきただろ?だから、新しい挑戦として、誰かに歌ってもらうのも、ありだと思うんだ」

       ☆ ☆ ☆

「で、誰に歌ってもらうの?」

今日はやけに目の光が強い優奈にそう言われて、俺は目線を下げてしまう。

「別に、歌ってもらおうなんて思ってないよ」

「えぇ~?潤の曲を歌いたい人は沢山いると思うけどなぁ」

「でも、俺が歌って欲しい人は……」

そう言いながら少しだけ目線をあげると、興味深そうにこっちを見ている優奈と目が合う。

優奈が、小さい頃に歌ってくれた歌声を思い出す。

美しく、天然水のように透き通って、少し気を抜いてしまうと、どこかへ飛んでいってしまいそうな、そんな歌声。

《潤くんっ、大人になったら、潤くんが曲を作って、私が歌うね!約束だよっ》

……もう、忘れているだろうな。

「……潤?どうしたの?」