「……分かってます」

やっと俺が口を開くと、安心したように

ホッとため息をついた。

でも、俺の分かってます。は、この人の

期待に添えるものでは無い。

俺はこれまでも、これからも、優奈の

ために曲を作るだけ。

顔も分からないファンなんかより、ずっと

大事なんだ。

それでもこの人は、笑顔で俺の曲を良く

しようとする。

「清瀬くん、どうだろう。君の曲を、

違う誰かに歌ってもらう、というのは」

……誰かに、歌ってもらう?