「優奈!?」

荒い息遣いが聞こえてきて、申し訳なく思いながらも布団を剥がす。

そこには、顔を真っ青にして苦しそうに歪めている優奈の姿があった。

……っ、なんで……と、とりあえず、

ナースコールっ……!

医者によると、優奈は最近流行りのコロナウイルスにかかってしまったらしい。

ただでさえ気管支が弱いのに、治療法もはっきりしていない病気にかかって、目が覚めても気管支が以前より弱くなってしまっているか、声が出なくなっている
かもしれないらしい。

優奈のことを話しているとは思えないくらい、とても冷静に、医者はそう話した。

そこからはよく覚えていない。

ただ覚えているのは……俺が帰る直前まで目を開くことがなかった優奈の姿だった。

「潤……」

「ごめん母さん。ちょっと今はひとりにして」

心配そうにしている母さんを部屋から追い出して、俺は暗い部屋の中で、ただただ、病院から電話がかかってくるのをじっと、待っていた。