孤独な心

「汐帆…。学校で何かあったのか?」


「えっ?」


俺の問いかけに動揺する汐帆。


やっぱりか…。


こんなに取り乱しているんだから相当ストレスがかかったのだろうか。


「…別に何もないけど…」


明らかに怪しすぎる。


視線も合わせようとしない汐帆の顎を掬った。


「今日…三者面談のことで担任から話があって…」


汐帆はそういうと、カバンの中から三者面談のプリントを俺に渡した。


「再来月から、三者面談が始まるんだけど私だけ皆より1ヶ月早くて…。担任がいつもより真剣な表情してたから不安で。

深く考えないでって言われたけど、どうしても気になって…」



「…そうか。

担任も、そう深くは考えるなって言ったんだろう?」


「…そうだけど」


そういえば汐帆。


意外と考え込むことがあるんだよな…


俺が帰ってくるまで暗い部屋で1人で考え込んでいたのか…


いつも強がっている汐帆がこんなに弱々しく考え込んでいる様子を見るのは久しぶりだった。


「それより…。その面談は俺が出た方がいいんだよな。」



「…まぁ。担任も今一緒に住んでいる人と相談してって言ってたから…」


仮にも一緒に住んでいるのは俺であって、汐帆はまだ未成年だから責任は俺にあるよな。


他に頼れる身内もいないわけだし、保護者代わりになることも当たり前のことだ。



「とりあえず、その日なら都合つけて1日空けておくよ。1ヶ月、気になると思うけどあまり気にしすぎるな。三者面談には俺もついてるから。」



「…そうだね。」



きっと汐帆は他の子達とは違う環境で育ってきたから、その類の話かもしれないよな。


それに病気も抱えているわけであっていつ入院になるのか分からないから早めの面談になったのかもしれないしな。



ここ1ヶ月の間はきっと汐帆は不安が続くだろう。


自分の勤務表を確認し、夜勤で家を開けてしまう日は妹の咲月に汐帆のそばにいてもらうように頼んだ。


まあ、そこまでしなくても汐帆は大丈夫とは思うけど…


それでも仕事で家を開ける日は汐帆のことが気になって仕事に集中出来なかった。


だからちょうどいい。


幸い、汐帆は咲月にも心を開いてくれているから。


それにしても。


まさかこの歳で、親目線で三者面談に出席するなんて思わなかったな。


だけど、唯一頼れるのが自分であることが誇らしく思う。



大切な汐帆のためだ。


汐帆が不安に感じている三者面談を一緒に乗り切ってやろうじゃないか。