とある賢者の執着愛ーー貴女を他の誰かに取られるくらいなら

「時々、私のような男に愛され、可哀想に思うのです」

 オリヴィアの瞳が染まりきったらどうなるのか、メルキオールにもよく分かっていない。
 共にありたいと強く願った結果、髪が変色し始めたのだ。ちなみに髪は既に黒髪となって、サラサラとメルキオールの指を流れてる。

「私は貴方に愛されて、とても幸せよ」

 オリヴィアはメルキオールに抱き上げられたまま、胸元に頬を擦り寄せた。

「ただ、貴方は臆病なの。私が幸せだと言っても不安になってしまう」

 賢者に向かって臆病だと言い切り、形の良い唇に触れるオリヴィア。

「ねぇ、ベッドに美味しいチョコレートを用意したのだけど? 食べたい?」

「……それはそれは。実に甘いお誘いですね。もちろん、頂きますよ。仕事を頑張ったご褒美を貰わなくては」

 オリヴィアの言葉の綾に蕩けた笑顔を見せるメルキオール。

「愛しているわ、メルキオール、ジョシュア」

 首に手を回し、囁く。彼以外、オリヴィアは何も要らない。

「私も愛しております。私だけのお嬢様、オリヴィア」

 口づけを交わす二人は愛の言葉しか紡げなくなる。どんな姿になろうと、それが人ならざるものであろうと心を通わそう。
 賢者の勤めもブラッドリーの宿命も関係ない。二人で遠く、遠く、何処までも歩むのだ。

「愛してる」

 それが全て。