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「痩せられましたね、姫の心中をお察しします」
王子はオリヴィアをみ、口角を上げた。オリヴィアにしてみればお察しするのはお互い様で、王子の妃選びがよほど難航しているのだろう。なにせ隣国の呪われた娘を娶り、内外に奇跡として知らしめたいと考えるくらいだ。
「えぇ、まぁ」
短く返事を切ってオリヴィアは捧げられた花束の香りを楽しむ。両手いっぱいの薔薇は棘の処理がきちんとされ、むせ返るほど艶やか。今のオリヴィアには眩しい。
「つきましてはブラッドリー家のダイヤモンドですが」
「おお、何か分かりましたか?」
王子は学者を伴っていて、いかにもな風貌が勿体つけながら語り始める。
「我が国にも賢者信仰がごさいます。ブラッドリー家のようにダイヤモンドを授かった者がいた記録はないのですが、賢者由来の泉が城の近くにありまして」
「泉?」
オリヴィアの父親が乗り出す。一方、王子とオリヴィアは紅茶を口にし、顔を見合わせた。どうやら味覚だけは合うらしい。ジョシュアが淹れたお茶とは全然違う。
「痩せられましたね、姫の心中をお察しします」
王子はオリヴィアをみ、口角を上げた。オリヴィアにしてみればお察しするのはお互い様で、王子の妃選びがよほど難航しているのだろう。なにせ隣国の呪われた娘を娶り、内外に奇跡として知らしめたいと考えるくらいだ。
「えぇ、まぁ」
短く返事を切ってオリヴィアは捧げられた花束の香りを楽しむ。両手いっぱいの薔薇は棘の処理がきちんとされ、むせ返るほど艶やか。今のオリヴィアには眩しい。
「つきましてはブラッドリー家のダイヤモンドですが」
「おお、何か分かりましたか?」
王子は学者を伴っていて、いかにもな風貌が勿体つけながら語り始める。
「我が国にも賢者信仰がごさいます。ブラッドリー家のようにダイヤモンドを授かった者がいた記録はないのですが、賢者由来の泉が城の近くにありまして」
「泉?」
オリヴィアの父親が乗り出す。一方、王子とオリヴィアは紅茶を口にし、顔を見合わせた。どうやら味覚だけは合うらしい。ジョシュアが淹れたお茶とは全然違う。

